こんにちは!くるです!
今回は離散数学や論理学で非常に重要な分野の1つである「命題論理」について簡単に説明していこうと思います!
そもそも命題とは?
「そもそも命題って何ぞ?」って方も多いと思うので、まずは簡単に命題について説明します。
命題は簡単に言えば、「その文章が正しいか間違いであるかが客観的に分かる文章」のことです。
例えば、「昨日雨が降った」という文は本当に昨日雨が降っていれば「正しい」、降っていなければ「間違い」であると分かります。
なので、「昨日雨が降った」という文は「命題」であると言えます。


明らかに間違ってる文章でも命題になるんすか??
正しいか間違っているかは関係ないのです!

これ勘違いしてしまう方が多いと思うのですが、命題はその文章の真偽は関係ありません。
「その文章が正しいか間違いであるかが客観的に分かる文章」ならば、どんな文章でも「命題」なのです。
だから「世界一高い山は富士山だ」みたいな明らかに間違っている文でも、”明らかに“間違っていることが分かるので、この文は「命題」になるのです。
しかし、例えば「富士山は美しい」みたいな文は、客観的に正しいか間違っているかはわかりません。なので、このような文は命題とは言えないのです。
命題の例と命題ではない例を紹介します。

命題の例

命題ではない例

命題がどんなものなのか理解できたでしょうか?


理解できたっす!
命題論理
それでは「命題論理」について説明していきます。
命題論理は簡単に言えば「命題や命題を組み合わせた文章について数学的に考える方法」のことです。
まずは、命題論理に使われる「命題変数」と「論理演算子」について説明していきます。
命題変数
命題変数は単純に「命題を名前を付けるための記号」です。
例えば、「日本人は人間である」という命題を$p$と名付けたとしましょう。この$p$が命題変数です。

どうして「変数」って言うんすか?
命題は$T(真)$か$F(偽)$のどちらかを取ります。つまり変化するわけです。
なので、ただの記号というよりかは「変数」と呼ぶ方がふさわしいということなんです。
命題変数に使われる記号はいくらでもあり、$a, b, c, d, …$というように何でもいいのですが、一般的には離散数学や論理学の世界では$p, q, r$と言った記号が使われています。
論理演算子
命題論理に使われる論理演算子は他の学問で使われている論理演算子と大して変わらず、よく使われるのは以下の5つです。

例えば、「りんごは果物である」という命題を$p$、「日本人は人間である」という命題を$q$とすると、
というようになります。
命題論理式
命題論理式とは「命題論理と論理演算子を組み合わせて作られる数式」のことです。
実は先ほどの$p \lor q$という式などがこれにあたります。
命題と論理演算子を組み合わせることでいくらでも作ることができ、
$$(p \lor q \land r) \lor p \to \lnot q \land r \lor (p \land q)$$
みたいに複雑な命題論理式を作ることもできます。
なぜ文章を数学的に考える必要があるのか?
命題論理は「命題や命題を組み合わせた文章について数学的に考える方法」と言いました。
なぜわざわざ数学的に考えるのかと言うと、その方が便利だからです。
例えば、「リンゴが赤色であり、かつ、イチゴも赤色である、ならば、リンゴとイチゴは同じ色である」みたいな文を考えてみましょう。
この文のままでは長ったらしくて、書くのも面倒です。
そこで、「リンゴは赤色である」という命題を$p$、「イチゴは赤色である」という命題を$q$、「リンゴとイチゴは同じ色である」という命題を$r$としましょう。すると、上の文は次のように書き表すことが出来ます。
$$p \land q \to r$$
たったこれだけで、あの長い文章を書き表すことが出来るのです。便利でしょ?
また、このように数式で表せば、コンピュータでも命題論理を扱うことが出来るようになります。これが一番のポイントで、身近な例で言えば「機械学習」や「人工知能」に命題論理が使われています。
だから、命題論理というものを考えるのです!

まとめ
最後に重要なところをまとめておきます。色々用語が多くて、何が何だか分からなくなってくると思いますが、一つ一つちゃんと理解しておきましょう。
・命題とは「その文章が正しいか間違いであるかが客観的に分かる文章」
・命題論理とは「命題や命題を組み合わせた文章について数学的に考える方法」
・命題変数とは「命題を名付けするための記号」
・命題論理に使われる主な論理演算子は「$\lor, \land, \lnot, \to, \leftrightarrow$」の5つ
・命題論理は文章を簡潔に表現し、人間やコンピュータにとって扱いやすくするために使われる
$p \lor q$ = りんごは果物であるか、または、日本人は人間である
$p \land q$ = りんごは果物であり、かつ、日本人は人間である
$\lnot p$ = りんごは果物でない
$p \to q$ = りんごは果物である、ならば、日本人は人間である
$p \leftrightarrow q$ = りんごが果物であることと、日本人が人間であることは等しい