こんにちは、くるです。今回は

掃き出し法が全然分からん!
とイライラしている方に向けて、「掃き出し法による連立方程式の解き方」と「なぜ掃き出し法で解が求まるのか」を解説します。
掃き出し法とは
掃き出し法とは「行列に変換した連立方程式を簡単に解くための方法」です。
例えば、次のような連立方程式があるとします。

この連立方程式はもちろん高校までの解き方で普通に解くことが出来ます。でも、式の数が増えると、いちいち$x,y,z$や$=$を書くのって面倒くさいですよね?もっと楽をしたいものです。
そこで驚きの事実なんですけど、実は連立方程式って係数さえあれば解くことができるんです。
そのために使うのが「行列」であり、そのための解法が「掃き出し法」です。
掃き出し法のやり方を詳しく見ていきましょう!

掃き出し法のやり方
【ステップ1】連立方程式を行列に変換する

掃き出し法の最初のステップは連立方程式を行列に変換することです。
連立方程式を行列に変換するには数字だけを取り出せばよいのです。つまり

という行列が連立方程式を変換した行列になります。しかし、この行列を見ただけでは元の連立方程式のどこにイコールが入っていたのか分かりません。
そこで次のように、点線を加えることで、元の連立方程式のイコールの場所が一目で分かるようになります。

そしてこのような、行列を拡大係数行列と言います。まずはこの拡大係数行列を作るのです。
「なんで連立方程式を行列で表せるんだ???」「$x,y,z$と$=$はどこいったんだよ!」と思うかもしれませんが、言ってしまえば、連立方程式から$x,y,z$と$=$を抜いて数字だけにしたものを「行列」と呼ぶと決めただけです。
だから、実際には$x,y,z$と$=$は消えたのではありません。面倒だから書いてないだけです。
習いたての頃は連立方程式と行列がそれぞれ別のものに見えると思いますが、連立方程式を簡略化したものが行列なんです。
【ステップ2】行列を簡約化する
先ほどの拡大係数行列に行基本変形を加え、行列を簡約化させます。
簡約化とは簡単に言えば「$1$が階段上に並ぶように変形すること」です。簡約化の過程は以下のようになります。①や②は行番号を表しています。

【ステップ3】解を導く

さて最終的にこのような行列になりました。省略していた$x,y,z$と$=$を書いてあげると、連立方程式の解は次のように求まります。実際に元の連立方程式に代入して確認してみてください。

今回の例はうまく解が求まりましたが、連立方程式はいつも解が求まるわけではなく、「任意の解」や「解なし」になる場合もあります。
詳しくは「連立方程式の解の3パターン(解あり、任意の解、解なし)を分かりやすく解説!」で解説しているので、気になった方はぜひご覧ください。

なるほどっすね!
掃き出し法で連立方程式の解が求まるのはなぜか?

掃き出し法で連立方程式の解を求めることが出来るのは分かったんですけど、そもそもどうして解が求まるんですか?
連立方程式を解くときと同じ操作を行列に対して行っているだけだからです

先ほどのステップ2では次のようなことを行いました。

これを連立方程式に直して、「どんな操作が行われているのか」、「連立方程式的におかしな操作ではないのか」を見てみましょう。
【ステップ1】並び替え

何も問題はないですよね。
【ステップ2】②+➀×2 & ③ー➀×3

1行目の式を使って2行目と3行目の式の$x$を消してます。これも連立方程式的には何も問題のない操作ですよね?
【ステップ3】③×(-1/5)

これは3行目の式を$-5$で割っているだけです。何も問題はありませんね。
【ステップ4】➀-②×2 & ③-②

これは2行目の式を何倍かして1行目と3行目の式から引くことで$y$の項を消去しています。これも何も問題はありませんね。
【ステップ5】➀-③ & ③×(-1)

1行目の式から3行目の式を引いて$z$の項を消去しています。するとどうでしょう。連立方程式の解が求まってしまいました。
だから、掃き出し法は「連立方程式を解くときと同じ操作を行列に対して行っているだけ」なんです。
お分かりいただけたでしょうか?


なんとなく分かりました!
練習問題

よって、$x=35$、$y=-25$、$z=-56$
行基本変形は図のように「→」で繋ぐようにしてくださいね♪
お疲れ様でした!

次の連立方程式を掃き出し法で解きなさい。