ベクトル空間とは?定義や意味を分かりやすく解説!

ベクトル空間

そもそもベクトルとは?

線形代数の後半に出てくる今回の「ベクトル空間」ですが、話がかなり抽象的なうえ、多くの人が苦手と感じる「ベクトル」が話の根幹にあるため、頭が受け入れてくれず、結局良く分からないまま先に進んでしまいます。

しかし、一旦この「ベクトル」という概念をしっかりと整理してから考えると、あっけないほどに「ベクトル空間」を理解することが出来ますので、ぜひとも最後までじっくりと読んでもらいたいです(*’ω’*)

頑張っていきましょう!

先生
先生

高校までのベクトルと線形代数のベクトルの違い

高校までのベクトル

このベクトル空間を理解するには、そもそも「ベクトル」とは何かということが分かっていないといけません。

では、皆さんはベクトルと言えばどんなものが思い浮かぶでしょうか?多くの方がこのようなイメージを持っていると思います。

一般的にベクトルと言えば、「向きと大きさを持つ」とか、「矢印で表す」という風に習ってきたと思います。

このベクトルのイメージは何も間違ったところはないのですが、線形代数を勉強するときには一旦高校までのベクトルのことは忘れ去る必要があります。

線形代数のベクトル

いきなり言ってしまいますが、線形代数で使うベクトルとはこういうものです!

\begin{pmatrix} a \\ b \\ c \end{pmatrix}  

\begin{pmatrix} a & b & c \\ \end{pmatrix}

このように「数字が一列に並んだだけのもの」をベクトルというのです。(※線形代数では基本的に縦一列に並んだものを使うので、ここからは縦一列のものだけを使います。)

で、縦一列に並んだものを「列ベクトル」、横一列に並んだものを「行ベクトル」と言います。

もちろん縦に1つだけ並んでいるものや、6つ並んでいるものも全てベクトルです。とにかく「数字が一列に並んでいるもの」のことを線形代数ではベクトルと呼ぶのです。

一列というところがポイントで、実は縦横それぞれ1列以上持つものが今まで習ってきた「行列」なのです。

なぜ数字を一列に並べただけのものが「ベクトル」になるのか?

恐らく多くの人がこの疑問をお持ちでしょう。これをちゃんと説明しようと思うと長くなってしまうので、ここでは簡単に説明しようと思います。

「線形代数のベクトル」は「高校までのベクトル」を包含する

まず、実は高校までの「向きや大きさを持ち、矢印で表す」ベクトルは、線形代数の「数を一列に並べただけ」のベクトルの一部なんです。図で表すとこんな感じ。

てことはですよ、あの「数を一列に並べただけ」のベクトルも、ある条件下では、「高校までのベクトル」に置き換えることが出来るわけです。

その条件とは、「数字が3つ以下」です!つまり、

このように、縦に1つ、2つ、3つ数字が並んでいるものは、「高校までのベクトル」に置き換えて考えることが出来るというわけです。

「高校までのベクトル」に置き換える

では、どのようにして「高校までのベクトル」に置き換えるのか説明しましょう。

まず、「数が一列に並んだもの」の数字を上から「x,y,z座標」に対応付けます。こんな風に

そしたら、x,y,z平面でそれぞれをベクトルとして書くことが出来ますよね?

つまり、この結果から数字が3つ以下の「線形代数のベクトル」は「高校までのベクトル」と置き換えることが出来るということが分かると思います。

もっと言うと、「高校までのベクトル」は「ベクトルを現実的にイメージ出来るようにするために考えられたもの」ということもできます。

数字が4つ以上だとどうなる?

例えば、数字が4つの「線形代数のベクトル」を「高校までのベクトル」に置き換えようとすると、x,y,zの他にもう一つ次元を用意しなくてはいけません。つまり4次元になるわけです。

でも、4次元の図形的なイメージなんて想像も出来ませんよね?なので、「高校までのベクトル」と同じように「向きと大きさを持ち」、「矢印で表す」ことはできないわけです。

ですが、イメージはできなくとも、考えることは出来るはずです。そしてそれは「数学」の最も得意とすることの1つですから。

そして、どうやったら4次元以上のベクトルも表現できるか考えた結果、あのように「数字を一列に並べたもの」をベクトルと考えることにしたというわけなんです。

注意点

最後に注意点があるのですが、「線形代数のベクトル」は「向き」を持たず、「矢印で表す」こともありません。

どうしても「高校までのベクトル」のイメージに当てはめようとしてしまうのですが、あまり意味を考える必要はなく、とりあえず「数を一列に並べたもの」をベクトルというんだな~程度に考えれば大丈夫です。

また、ここから先は「高校までのベクトル」のイメージは消し去ってください。「数字が一列に並んでいるだけのもの」をベクトルと言い、とにかくそこには「向き」も「矢印」もないことを理解してください。

くるる
くるる

やっと本筋に入るっすよ~~

ベクトル空間

ベクトルの定義

まずは、線形代数のベクトルの定義から説明しましょう。思い返せば今まで定義については触れてきませんでしたよね。

さて、以下の8つの性質を満たすような$u$とか$v$を「ベクトル」と言います。太字はベクトル、細字はスカラーです。

今、あなたこう思いましたね?

ん?当たり前じゃん?

そうなんです。当たり前なんですよ。こんなもん言ってることは中学生でも理解できることです。故にここは多くの学生がつまずくポイントだと思います。

ではなぜわざわざ当たり前のことを改めて言う必要があるのでしょうか?それは

MEMO

何もない世界にベクトルを定義するため

です。そもそも数学での四則演算や分配法則といった一般的に”当たり前“と考えられているものたちは、何もこの世界の絶対的な法則ってわけではありませんよね?人間が作っただけの概念です。

だから、何の説明もなしに「ベクトル」というものを勝手に作るわけにはいかないのですよ。ちゃんと定義を示さなきゃいけません。

そのため、当たり前と思われるようなことでもキチンと書く必要があるってことなんです。

まぁ長々と書きましたが、要は、線形代数では「足したり、定数倍できるもの」のことを「ベクトル」と呼ぶということです。

ベクトル空間

例えば、ある集合V={$u$,$v$,$w$}を考えましょう。そして、Vの要素$u$,$v$,$w$がそれぞれ先の8つの性質を満たす「ベクトル」であるとします。

このように、ある集合Vの要素全てが「ベクトル」であるとき、Vを「ベクトル空間」と言います。

つまり、ベクトル空間とは、どの要素も「足したり、定数倍出来る = ベクトル」であるような集合のことを言うのです。

空間って聞くと、立体を思う浮かべてしまうかもしれませんが、そうではなく、集合と同じような意味があると考えてください。

ベクトル空間の例

ベクトル空間には次のようなものがあります。全て、実数空間で考えてください。複素数は入りません。

列ベクトル全体、行ベクトル全体

列ベクトルと行ベクトルってのはこのようなものでした。

これらって先ほどの8つの性質を満たしますよね?例えば、1つ目の性質を見てみると、

ってなるのは当たり前です。他の性質も今までに習った行列の計算をすれば満たすことが簡単に分かります。

つまり、列ベクトルと行ベクトルは「ベクトル」と言えるわけです。

(名前にベクトルって付いてるんだから当たり前だろと思うかもしれませんが、順番的には、この2つが8つの性質を満たし、「ベクトル」になることが分かったから、列ベクトル、行ベクトルと言われているのです。)

そして、どんな長さの列ベクトル、行ベクトルでも「ベクトル」となるため、列ベクトル全体、行ベクトル全体がそれぞれ「ベクトルの集合」となります。

そして、先ほど説明したように「ベクトルの集合」のことを「ベクトル空間」というわけでしたから、列ベクトル全体と行ベクトル全体はベクトル空間であると言えるというわけです。

多項式全体

実はそうなんです。線形代数においては「多項式もベクトル」なのですよ。。。。

例えば、$u = x^2+2x + 3$、$v = 2x^3 + x + 2$という多項式$u$、$v$を先ほどの8つの性質に当てはめてみてください。

どうですか?当てはまるでしょ?

てことはやっぱり、「多項式もベクトルの1つ」ということが分かります。

ここで大切なのは、何度も言いますが「高校までのベクトル」のイメージを捨てることです。あの8つの性質を満たしているものを「ベクトル」と呼ぶと「定義」したのですから、定義を満たす以上、「多項式もベクトル」になるのです。

そして、多項式全体は「ベクトルの集合」になるので、多項式全体は「ベクトル空間」であると言えるのです。

区間(a,b)で連続な関数全体

驚いて目が飛び出る人のイラスト(男性)

もう驚くしかありませんよね。まさか関数までもベクトルだったなんて。。。。

例えば、以下のような積分を考えてみましょう。

$$u = \int_0^1 f(x) dx、v= \int_1^2 g(x) dx$$

そして、この$u$と$v$を8つの性質に当てはめてみてください。成り立ちますよね?

てことは「積分はベクトル」なんです。同じように他のある区間内で連続な関数は全てベクトルになるのです。

そしてそのような関数を全部集めたものは「ベクトルの集合」になるので、やっぱり「ベクトル空間」となるわけです。

僕もこれを知った時は顎がハズレて目ん玉飛び出しましたよ(;^ω^)

まとめ

今回はベクトル空間の概念的なことを中心に説明しました。おそらく、この分野は線形代数でも難解な部分だと思いますので、ぜひじっくりと勉強して頂ければと思います。

最後まで見て頂きありがとうございました!

先生
先生

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