「1次独立」「1次従属」とは?意味を分かりやすく解説!

1次独立と1次従属

1次関係

まずは「1次関係」について学びましょう。

例えばあるベクトル空間$V$というものがあり、その要素にベクトル$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$があるとします。簡単に言えば、図のようなイメージです。

そして、$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$が

$$c_{1}\boldsymbol{u}_{1} + c_{2}\boldsymbol{u}_{2} +・・・+ c_{n}\boldsymbol{u}_{n} = 0$$

という式を満たすとき、こういう関係のことをベクトル$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$の「1次関係」といいます。

なぜ「1次関係」という呼び方なのかというと、1次独立か1次従属かを教えてくれる関係式だから、とかそんな感じだと思います笑

「ベクトル空間」について詳しく知りたい方はこちらをチェック!

1次独立

さて、先程の1次関係式

$$c_{1}\boldsymbol{u}_{1} + c_{2}\boldsymbol{u}_{2} +・・・+ c_{n}\boldsymbol{u}_{n} = 0$$

に注目しましょう。今、この式を満たす$c_{1}, c_{2}, ・・・, c_{n}$が$c_{1} = c_{2} =・・・= c_{n} = 0$だけに限るとき、ベクトル$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$は「1次独立」であると言います。

2次元の場合を考える

2次元ってのは、ベクトル$\boldsymbol{u}_{1}$と$\boldsymbol{u}_{2}$だけってことです。$\boldsymbol{u}_{1}$と$\boldsymbol{u}_{2}$が1次独立ってのは図で表すとこんな感じです。

つまり、1次独立とは簡単に言ってしまえば「平行でない」ってことなんですよね。「平行でない」から1次「独立」って名前なんです。

3次元以降のイメージは付きづらいですが、同じようなもんです。

1次従属

もう一回1次関係式

$$c_{1}\boldsymbol{u}_{1} + c_{2}\boldsymbol{u}_{2} +・・・+ c_{n}\boldsymbol{u}_{n} = 0$$

に注目しましょう。今、$c_{1} ≠ 0$とすると、

$$\boldsymbol{u}_{1} = -\frac{c_{2}}{c_{1}}\boldsymbol{u}_{2} +・・・+ -\frac{c_{n}}{c_{1}}\boldsymbol{u}_{n}$$

という式に変形できます。($c_{1} ≠ 0$としたのは、分母が0になっちゃダメだからです。)

この式はベクトル$\boldsymbol{u}_{1}$が、ベクトル$\boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$を定数倍したものの和になっています。(これを1次結合といいます)

このとき、ベクトル$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$は「1次従属」であると言います。

2次元の場合を考える

1次独立の時と同じように2次元で考えてみましょう。

$$c_{1}\boldsymbol{u}_{1} + c_{2}\boldsymbol{u}_{2} = 0$$

という1次関係式において、$c_{1} \neq 0$であるとすると、

$$\boldsymbol{u}_{1} = -\frac{c_{2}}{c_{1}}\boldsymbol{u}_{2}$$

となります。これって図的に考えれば

こんな感じになります。つまり1次従属とは「平行である」ってことなのです。「平行」って何となく「従属」って感じがしませんか?しないか(笑)

1次独立でなければ1次従属である

今までは$c_{1} \neq 0$という仮定だけでしたが、今度は$c_{1} \neq 0, c_{2} \neq 0$としてみましょう。すると、以下のように$\boldsymbol{u}_{1}$と$\boldsymbol{u}_{2}$の2つを1次結合で表すことが出来ます。

$$\boldsymbol{u}_{1} = -\frac{c_{2}}{c_{1}}\boldsymbol{u}_{2} +・・・+ -\frac{c_{n}}{c_{1}}\boldsymbol{u}_{n}$$

$$\boldsymbol{u}_{2} = -\frac{c_{1}}{c_{2}}\boldsymbol{u}_{1} +・・・+ -\frac{c_{n}}{c_{2}}\boldsymbol{u}_{n}$$

そして、この時もベクトル$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$は「1次従属」であるといえます。こうなっちゃうと、

1次従属って結局何なんすかね。。。

くるる
くるる

って思うかもしれませんが、実はこういうことが言えるのです。

MEMO

「1次独立でないなら1次従属」

「1次独立でない」

⇔「$c_{1} = c_{2} =・・・= c_{n} = 0$」

⇔「$c_{1}, c_{2}, ・・・, c_{n}$のどれかが0じゃない」

ってことですよね?てことは$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$のどれか1つは絶対に1次結合で表すことが出来ますよね?

そして、$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$のうち、どれか1つでも1次結合で表すことが出来れば$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$は「1次従属」であると言えるのです。

だから、ベクトル$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2},・・・, \boldsymbol{u}_{n}$は基本「1次従属」なんですけど、「$c_{1} = c_{2} =・・・= c_{n} = 0$」のときだけ、「1次独立」と変わるんです。

例題

次のベクトルは1次独立か1次従属のどちらか述べよ。

$$\begin{pmatrix} 3 \\ 1 \\ 2 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \\ 1 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ 2 \end{pmatrix}$$

解答

$$c_{1}\begin{pmatrix} 3 \\ 1 \\ 2 \end{pmatrix} + c_{2}\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \\ 1 \end{pmatrix} + c_{3}\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ 2 \end{pmatrix} = \boldsymbol{0}$$

とおき、変形すると、

$$\begin{pmatrix} 3 & 1 & 1 \\ 1 & 2 & 0 \\ 2 & 1 & 2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} c_{1} \\ c_{2} \\ c_{3} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}$$

左辺の行列を簡約化すると、

$$\begin{pmatrix} 3 & 1 & 1 \\ 1 & 2 & 0 \\ 2 & 1 & 2 \end{pmatrix} \rightarrow \begin{pmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 2 & 1 & 2 \\ 3 & 1 & 1 \end{pmatrix} \rightarrow \begin{pmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 0 & -3 & 2 \\ 0 & -5 & 1 \end{pmatrix} \rightarrow \begin{pmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 0 & 1 & -\frac{2}{3} \\ 0 & -5 & 1 \end{pmatrix} \rightarrow \begin{pmatrix} 1 & 0 & \frac{4}{3} \\ 0 & 1& -\frac{2}{3} \\ 0 & 0 & -\frac{7}{3} \end{pmatrix} \rightarrow \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}$$

よって

$$\begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} c_{1} \\ c_{2} \\ c_{3} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}$$

となり、$c_{1}, c_{2}, c_{3}$は$c_{1} = c_{2} = c{3} = 0$に限るから、ベクトル

$$\begin{pmatrix} 3 \\ 1 \\ 2 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \\ 1 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ 2 \end{pmatrix}$$

は1次独立である。

解説

この問題のポイントは最初に、

$$c_{1}\begin{pmatrix} 3 \\ 1 \\ 2 \end{pmatrix} + c_{2}\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \\ 1 \end{pmatrix} + c_{3}\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \\ 2 \end{pmatrix} = \boldsymbol{0}$$

という1次関係式を作ることです。何でこの式を作るかというと、今、「1次独立か1次従属か」を調べたいのであって、それは1次関係式の各$c$が0になるかどうかで決まるからですよね。

後、簡約化するってのが不思議に感じる方もいるかもしれませんが、簡約化は$c_{1}, c_{2}, c_{3}$を求めているだけなのです。元のベクトルには何の影響もありません。

今回のまとめ
  • $c_{1}\boldsymbol{u}_{1} + c_{2}\boldsymbol{u}_{2} +・・・+ c_{n}\boldsymbol{u}_{n} = 0$を1次関係式っていうよ
  • 1次独立は「平行でない」、1次従属は「平行である」って感じのイメージだよ
  • 1次独立でなければ1次従属だよ

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