一次独立・一次従属って何?定義と判定方法を分かりやすく解説!

一次独立・一次従属

こんにちは、くるです。今回は

一次独立って高校で聞いた気がするんだけど、いまいち良く分からないんだよなぁ…

という学生のために、「一次独立・一次従属の定義と判定方法」を分かりやすく説明します!

一次独立・一次従属とは?

2次元平面の場合、一次独立は「2つのベクトルが平行でない」、一次従属は「2つのベクトルが平行である」状態を表します。

例えば、あるベクトル$\boldsymbol{a},\boldsymbol{b}$における「一次独立・一次従属」は次のようなイメージです。

2次元の一次独立・一次従属のイメージ

また、3次元空間の場合、一次独立は「3つのベクトルが同じ平面上にない」、一次従属は「3つのベクトルが同じ平面上にある」状態を表します。

例えば、あるベクトル$\boldsymbol{a},\boldsymbol{b},\boldsymbol{c}$における「一次独立・一次従属」は次のようなイメージです。

3次元の一次独立・一次従属のイメージ
くるる
くるる

どうして2次元の場合と3次元の場合で、一次独立と一次従属の意味が違うんすか?何だかわけが分からなくなりそうっす…

それはあくまでも幾何学的な意味で「一次独立・一次従属」を考えているからであり、本質的には2次元でも3次元でも「一次独立・一次従属」の意味は同じなのです。

先生
先生

それを理解するために一次独立・一次従属の「一般の定義」を説明します!

一般の定義

一次独立・一次従属の定義

ベクトル$\boldsymbol{a_{1}},\boldsymbol{a_{2}}, \cdots ,\boldsymbol{a_{n}}$と実数$c_{1},c_{2}, \cdots ,c_{n}$において、

$$c_{1}\boldsymbol{a_{1}}+c_{2}\boldsymbol{a_{2}}+ \cdots + c_{n}\boldsymbol{a_{n}}=\boldsymbol{0} \quad (1) $$

という式を満たすのが自明な解「$c_{1}=c_{2}= \cdots = c_{n} = 0$」に限るとき、「ベクトル$\boldsymbol{a_{1}},\boldsymbol{a_{2}}, \cdots ,\boldsymbol{a_{n}}$は一次独立である」という。

自明な解以外の解があるならば、 「ベクトル$\boldsymbol{a_{1}},\boldsymbol{a_{2}}, \cdots ,\boldsymbol{a_{n}}$は一次従属である」という。

ちなみに、以下のようにベクトルを連結させただけの式を「ベクトルの一次結合」といいます。$(1)$式の左辺はまさにこれ。

$$c_{1}\boldsymbol{a_{1}}+c_{2}\boldsymbol{a_{2}}+ \cdots + c_{n}\boldsymbol{a_{n}}$$

ポンタ
ポンタ

でも、何でこんな定義なんですか?一次独立・一次従属とあまり関係がなさそうに見えるのですが。

定義の意味を詳しく解説しましょう!

先生
先生

定義の意味

例えば、ベクトルが2つのときを考えましょう。

$$c_{1}\boldsymbol{a_{1}}+c_{2}\boldsymbol{a_{2}}=\boldsymbol{0} \quad (2)$$

という式が$c_{1}=c_{2}=0$のとき以外にも成り立つとすると、

$$\boldsymbol{a_{1}}=-\frac{c_{2}}{c_{1}}\boldsymbol{a_{2}} \quad(3)$$

という式に変形できます。

そして、ここが一番重要なんですが、この式は幾何学的には次のようなものだとイメージすることができますよね。

2次元の幾何学的なイメージ

つまり、$(2)$式が$c_{1}=c_{2}=0$のとき以外にも成り立つならば、「2つのベクトルは平行」なんです。

そして、「2つのベクトルが平行」って2次元平面における「一次従属」のことでしたよね。

逆に、$(2)$式が$c_{1}=c_{2}=0$のときにしか成り立たないのであれば、$(3)$式のように変形しようと思っても分母が$0$になってしまうので出来ません。

ということは、間違いなく「 2つのベクトルは平行ではない」ですよね。つまり「一次独立」です。

くるる
くるる

なるほどっす!

また、ベクトルが3つのときも考えてみましょう。

$$c_{1}\boldsymbol{a_{1}}+c_{2}\boldsymbol{a_{2}}+c_{3}\boldsymbol{a_{3}}=\boldsymbol{0} \quad(4)$$

という式が$c_{1}=c_{2}=c_{3}=0$のとき以外にも成り立つとすると、

$$\boldsymbol{a_{1}}=-\frac{c_{2}}{c_{1}}\boldsymbol{a_{2}}-\frac{c_{3}}{c_{1}}\boldsymbol{a_{3}} \quad(5)$$

という式に変形できます。

この式は幾何学的には次のようなものだとイメージすることができますよね。

3次元の幾何学的なイメージ

つまり、$(4)$式が$c_{1}=c_{2}=c_{3}=0$のとき以外にも成り立つならば、「3つのベクトルは同じ平面上にある」ということになります。

そして、「3つのベクトルは同じ平面上にある」って3次元平面における「一次従属」のことでしたよね。

逆に、$(4)$式が$c_{1}=c_{2}=c_{3}=0$のときにしか成り立たないのであれば、$(5)$式のように変形しようと思っても分母が$0$になってしまうので出来ません。

ということは、間違いなく「3つのベクトルは同じ平面上にない」ですよね。つまり「一次独立」です。

補足

一次”従属”という名前なのは「他のベクトルによって表される=支配されている」から

一次独立か一次従属かを判定する方法

ベクトルが一次独立か一次従属かの判定には先ほど説明した「一次独立・一次従属の定義」を利用します。

一次独立・一次従属の定義

ベクトル$\boldsymbol{a_{1}},\boldsymbol{a_{2}}, \cdots ,\boldsymbol{a_{n}}$と実数$c_{1},c_{2}, \cdots ,c_{n}$において、

$$c_{1}\boldsymbol{a_{1}}+c_{2}\boldsymbol{a_{2}}+ \cdots + c_{n}\boldsymbol{a_{n}}=\boldsymbol{0} \quad (1) $$

という式を満たすのが自明な解「$c_{1}=c_{2}= \cdots = c_{n} = 0$」に限るとき、「ベクトル$\boldsymbol{a_{1}},\boldsymbol{a_{2}}, \cdots ,\boldsymbol{a_{n}}$は一次独立である」という。

自明な解以外の解があるならば、 「ベクトル$\boldsymbol{a_{1}},\boldsymbol{a_{2}}, \cdots ,\boldsymbol{a_{n}}$は一次従属である」という。

例題を通して判定方法を説明します。

例題1

次のベクトルは一次独立・一次従属のどちらか述べよ。

$$\boldsymbol{a_1}=\begin{bmatrix} 2 \\ 1 \end{bmatrix}, \boldsymbol{a_2}=\begin{bmatrix} 0 \\ 3 \end{bmatrix}$$

解答

まず、ベクトルを一次結合して、以下のような式を作る。

$$c_{1}\begin{bmatrix} 2 \\ 1 \end{bmatrix}+c_{2}\begin{bmatrix} 0 \\ 3 \end{bmatrix}=\boldsymbol{0}$$

この式の解が$c_{1}=c_{2}=0$だけに限れば「一次独立」、限らなければ「一次従属」である。

$c_{1},c_{2}$は以下の連立方程式を解けば求められる。

$$\begin{bmatrix} 2 & 0 \\ 1 & 3 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} c_{1} \\ c_{2} \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \end{bmatrix} \quad(1) $$

拡大係数行列簡約化すると、

$$\begin{eqnarray}\begin{bmatrix} \begin{array}{cc:c} 2 & 0 & 0 \\ 1 & 3 & 0 \end{array} \end{bmatrix} \end{eqnarray} \rightarrow
\begin{bmatrix} \begin{array}{cc:c} 1 & 3 & 0 \\ 2 & 0 & 0 \end{array} \end{bmatrix} \rightarrow
\begin{bmatrix} \begin{array}{cc:c} 1 & 3 & 0 \\ 0 & -6 & 0 \end{array} \end{bmatrix} \rightarrow
\begin{bmatrix} \begin{array}{cc:c} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \end{array} \end{bmatrix} $$

よって、解は$c_{1}=c_{2}=0$だけに限るので、$\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2}$は一次独立である。

簡約化している式を見てもらうと分かりますが、点線より右側の部分って全く変化しないので、なくても良いですよね。

なので、何をやっているのかをちゃんと理解しているのであれば、

$$\begin{bmatrix} 2 & 0 & 0 \\ 1 & 3 & 0 \end{bmatrix} \rightarrow
\begin{bmatrix} 1 & 3 & 0 \\ 2 & 0 & 0 \end{bmatrix} \rightarrow
\begin{bmatrix} 1 & 3 & 0 \\ 0 & -6 & 0 \end{bmatrix} \rightarrow
\begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \end{bmatrix} $$

というように係数行列だけの簡約化でもOKです。

例題2

次からは省略できる部分は省略して解答を書いてみます。

次のベクトルは一次独立・一次従属のどちらか述べよ。

$$\boldsymbol{a_1}=\begin{bmatrix} 1 \\ 2 \end{bmatrix}, \boldsymbol{a_2}=\begin{bmatrix} 2 \\ 4 \end{bmatrix}$$

解答

まず、ベクトルを一次結合して、以下のような式を作る。

$$c_{1}\begin{bmatrix} 1 \\ 2 \end{bmatrix}+c_{2}\begin{bmatrix} 2 \\ 4 \end{bmatrix}=\boldsymbol{0}$$

これを変形すると、

$$\begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 4 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} c_{1} \\ c_{2} \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \end{bmatrix} \quad(1) $$

となる。係数行列を簡約化すると、

$$\begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 4 \end{bmatrix} \rightarrow \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 0 & 0 \end{bmatrix}$$

となるので、$c_{2}=C \ (C \in \boldsymbol{R})$とすると、$c_{1}=-2C,c_{2}=C$となり、解は無限に存在する。

よって、$\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2}$は一次従属である。

例題3

次のベクトルは一次独立・一次従属のどちらか述べよ。

$$\boldsymbol{a_{1}}=\begin{bmatrix} 3 \\ 1 \\ 2 \end{bmatrix}, \boldsymbol{a_{2}}=\begin{bmatrix} 1 \\ 2 \\ 1 \end{bmatrix}, \boldsymbol{a_{3}}=\begin{bmatrix} 1 \\ 0 \\ 2 \end{bmatrix}$$

解答

まず、ベクトルを一次結合して、以下のような式を作る。

$$c_{1}\begin{bmatrix} 3 \\ 1 \\ 2 \end{bmatrix} + c_{2}\begin{bmatrix} 1 \\ 2 \\ 1 \end{bmatrix} + c_{3}\begin{bmatrix} 1 \\ 0 \\ 2 \end{bmatrix} = \boldsymbol{0}$$

これを変形すると、

$$\begin{bmatrix} 3 & 1 & 1 \\ 1 & 2 & 0 \\ 2 & 1 & 2 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} c_{1} \\ c_{2} \\ c_{3} \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix}$$

となる。係数行列を簡約化すると、

$$ \begin{eqnarray} && \begin{bmatrix} 3 & 1 & 1 \\ 1 & 2 & 0 \\ 2 & 1 & 2 \end{bmatrix} \rightarrow
\begin{bmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 2 & 1 & 2 \\ 3 & 1 & 1 \end{bmatrix} \rightarrow
\begin{bmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 0 & -3 & 2 \\ 0 & -5 & 1 \end{bmatrix} \\
&& \\
&\rightarrow& \begin{bmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 0 & 1 & -\frac{2}{3} \\ 0 & -5 & 1 \end{bmatrix} \rightarrow
\begin{bmatrix} 1 & 0 & \frac{4}{3} \\ 0 & 1& -\frac{2}{3} \\ 0 & 0 & -\frac{7}{3} \end{bmatrix} \rightarrow
\begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{bmatrix} \end{eqnarray}$$

よって、解は$c_{1}=c_{2}=c_{3}=0$だけに限るので、$\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2}, \boldsymbol{a_3}$は一次独立である。

まとめ

今回は「一次独立・一次従属の定義と判定方法」について解説しました。

一次独立・一次従属は「基底と次元」などで頻繁に出てくる概念なので、ザックリとしたイメージだけでも持っておくようにしましょう。

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