部分空間を分かりやすく解説!

部分空間

こんにちは、くるです。今回は

部分空間って何なんだよ!

と怒りを抑えきれない方たちのために「部分空間」を分かりやすく解説します。

ベクトル空間のおさらい

ベクトル空間は簡単に言えば「和とスカラー倍が定義できる集合」です。

和とスカラー倍は次のようなものですね。$k$はスカラーです。

ただし、和とスカラー倍はそれぞれ以下の性質を満たすように定義されていなければなりません。

和が満たすべき性質

(1) 入れ替えができる
$$\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b}=\boldsymbol{b}+\boldsymbol{a}$$

(2) 計算の順番を変えてもOK
$$(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b})+\boldsymbol{c}=\boldsymbol{a}+(\boldsymbol{b}+\boldsymbol{c})$$

(3) $\boldsymbol{0}$を足しても変わらない
$$\boldsymbol{a}+\boldsymbol{0}=\boldsymbol{a}$$

(4) 符号が反対のものを足し合わせたら$\boldsymbol{0}$になる
$$\boldsymbol{a}+(-\boldsymbol{a})=\boldsymbol{0}$$

スカラー倍が満たすべき性質

$k,l$はスカラーである。

(1) 計算の順番を変えてもOK
$$(kl)\boldsymbol{a}=k(l\boldsymbol{a})$$

(2) スカラーの和に対する分配法則が成り立つ
$$(k+l)\boldsymbol{a}=k\boldsymbol{a}+l\boldsymbol{a}$$

(3) スカラーによる分配法則が成り立つ
$$k(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b})=k\boldsymbol{a}+k\boldsymbol{b}$$

(4) $1$を掛けても変わらない
$$1\boldsymbol{a}=\boldsymbol{a}$$

例えば、次のような実$n$次数ベクトル全体は「ベクトル空間」です。

$$\left( \begin{array}{c} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{array} \right)$$

なぜなら、次のように和とスカラー倍が定義でき、8つの性質を満たすからです。

$$\left( \begin{array}{c} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{array} \right) + \left( \begin{array}{c} b_1 \\ b_2 \\ \vdots \\ b_n \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} a_1+b_1 \\ a_2+b_2 \\ \vdots \\ a_n+b_n \end{array} \right)$$

スカラー倍

$$k \left( \begin{array}{c} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_n \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} ka_1 \\ ka_2 \\ \vdots \\ ka_n \end{array} \right)$$

つまり、ベクトル空間は「和とスカラー倍が8つの性質を満たすように定義することのできる集合」ということです。

先生
先生

ベクトル空間が何か理解していないと部分空間は絶対理解できないので、ここの説明が良く分からない方はまず以下の記事を読みましょう。

ベクトル空間

部分空間とは?

部分空間とは簡単に言えば「ベクトル空間の中にあるベクトル空間」です。

つまり、あるベクトル空間$V$の部分集合$W$がベクトル空間であるとき$W$を$V$の部分空間というのです。

部分空間であるための条件

さて、ベクトル空間$V$の部分集合$W$が$V$の部分空間であるための条件は次のようなものです。

くるる
くるる

何だか難しそうっすね…

いえいえ、そんなに難しくはありません。言ってることは凄く単純なんです。

先生
先生

例えば、条件➀は「足しても$W$の中にいる」ということを言っています。

つまり、次のように$W$の要素同士を足し合わせた結果も$W$の要素でなくてもいけないということです。条件②も同じような意味です。

そして、条件③は条件②が満たされるなら自動的に満たされます。

というのも、条件②で$k=0$とすると、どんな$\boldsymbol{a}$に対しても

$$k\boldsymbol{a}=0\boldsymbol{a}=\boldsymbol{0} \in W$$

となり、$W$には$\boldsymbol{0}$が絶対に含まれているからです。

なので、実質条件➀と②がベクトル空間$V$の部分集合$W$が$V$の部分空間であるための条件といえるでしょう。

補足

部分空間は「ベクトル空間の中にあるベクトル空間」といいました。

なので、実は「部分空間であるための条件」は「ベクトル空間であるための条件」と同じなのです。

部分空間であるための条件って、要は「和とスカラー倍が定義できる」ってことを言ってるんですから考えてみれば当たり前ですよね。

部分空間の例

あるベクトル空間$V$の部分集合$W$が$V$の部分空間であるかどうかを確認するには、$W$が先ほど紹介した「部分空間であるための3つの条件」を満たすかどうかを確認すれば良いです。

例えば、以下の実$2$次数ベクトル全体$V$の部分集合$W$が$V$の部分空間であるか確認してみましょう。

$$W=\{ k \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} \mid k \in \boldsymbol{R} \}$$

部分空間かどうかを確認

① $\boldsymbol{a},\boldsymbol{b} \in W$ ならば $\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b} \in W$

$k \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}, k’ \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} \in W$とすると、

$$k \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}+k’ \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}=(k+k’)\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$$

$k+k’ \in \boldsymbol{R}$であるから、$(k+k’)\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} \in W$

したがって、$W$の要素同士の和の結果も$W$の要素であると分かったので、条件➀は満たされている。

② $\boldsymbol{a} \in W, k \in \boldsymbol{R}$ ならば $ k \boldsymbol{a} \in W$

$k\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} \in W, k’ \in \boldsymbol{R}$とすると、

$$k’ \cdot k \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}=k’k\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$$

$k’k \in R$であるから、$k’k\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} \in W$

したがって、$W$の要素のスカラー倍の結果も$W$の要素であると分かったので、条件②は満たされている。

③ 空集合でない

例えば、$k=1$のとき、$\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$が存在するように、明らかに$W$は空集合でないことが分かるので条件③は満たされている。

よって、条件①, ②, ③が満たされるので、$W$は$V$の部分空間である。

部分空間かどうかを確認する方法はこんな感じです。

最初は何をやっているのかいまいち分からないと思いますが、結局「和とスカラー倍をした結果も$W$の要素に含まれるかどうか」を確認しているだけです。

ポンタ
ポンタ

なんとなく分かりました!

まとめ

今回は部分空間について例を交えて解説しました。

『部分空間』例題集」で部分空間の例題をいくつか紹介しているのでぜひご覧ください。

部分空間例題集

また、部分空間を深く理解するにはベクトル空間の理解が必要不可欠ですので、まだ理解できてない方は「ベクトル空間とは?分かりやすく解説します!」をご覧ください。

ベクトル空間

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