基底と次元とは?例題と合わせて詳しく解説!

基底と次元

基底

簡単な話

まずは簡単な話から入りましょう。

例えば、xyz平面における全てのベクトルは単位ベクトル$\hat{\boldsymbol{x}}, \hat{\boldsymbol{y}},\hat{\boldsymbol{z}}$の1次結合で表すことが出来ます。こんな感じに

$$(3, 2, 5) = 3\hat{\boldsymbol{x}} + 2\hat{\boldsymbol{y}} + 5\hat{\boldsymbol{z}}$$

$$(-2, 0, 4) = -2\hat{\boldsymbol{x}} + 0\hat{\boldsymbol{y}} + 4\hat{\boldsymbol{z}}$$

このときの単位ベクトル$\hat{\boldsymbol{x}}, \hat{\boldsymbol{y}},\hat{\boldsymbol{z}}$にあたる部分が今回説明する「基底」になります。

少し難しい話

図のようにベクトル空間$V$の要素としてベクトル$\{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}, \boldsymbol{u}_{4}, \boldsymbol{u}_{5}, \boldsymbol{u}_{6}\}$があるとします。

ベクトル空間が良く分からない人はこちらの「ベクトル空間とは?定義や意味を分かりやすく解説!」の記事をご覧ください!

このとき、

$$\boldsymbol{u}_{4} = \boldsymbol{u}_{1} + \boldsymbol{u}_{2}$$

$$\boldsymbol{u}_{5} = \boldsymbol{u}_{2} + \boldsymbol{u}_{3}$$

$$\boldsymbol{u}_{6} = \boldsymbol{u}_{3} + \boldsymbol{u}_{1}$$

という式が成り立つとすると、

$$\{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}, \boldsymbol{u}_{4}, \boldsymbol{u}_{5}, \boldsymbol{u}_{6}\} = \{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}, \boldsymbol{u}_{1} + \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{2} + \boldsymbol{u}_{3}, \boldsymbol{u}_{3} + \boldsymbol{u}_{1}\}$$

と書き換えられます。また、$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}$は1次独立であるとします。

すると、ベクトル空間$V$の全要素を表すには$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}$の3つがあれば良いということになり、この1次独立なベクトルの組$\{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}\}$のことを「基底」といいます。

MEMO

基底・・・ベクトル空間の全要素を表すのに必要な一次独立なベクトルの組

なぜ$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}$1次独立である必要があるのか?

もし、$\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}$が「1次従属」で、$\boldsymbol{u}_{3} = \boldsymbol{u}_{1} + \boldsymbol{u}_{2}$と表されるとしたら、

$$\{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}\} = \{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{1} + \boldsymbol{u}_{2}\}$$

となり、基底は$\{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}\}$になります。

しかし、上の例では基底は$\{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}\}$であったはずなので、これでは矛盾してしまいます。

そのため、基底のベクトルは「1次独立」である必要があるのです。

一般化

今まで書いてきたことを一般化すると、ベクトル空間$V$の任意のベクトルが

$$Vの任意のベクトル = a_{1}\boldsymbol{u}_{1} + a_{2}\boldsymbol{u}_{2} +・・・+ a_{n}\boldsymbol{u}_{n}$$

と1次結合で表されるとき、1次独立なベクトルの組$\{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{n}\}$のことを「基底」と言います。

基底のイメージ

基底をイメージするのは中々慣れてないと難しいですが、例えるならば「原子」みたいなイメージでしょうか。原子って物質を構成する最小単位で、それ以上分けることのできないものですよね。(陽子とか中性子とかは今は無視しましょう(笑))

それと同じで、「基底」ってベクトル空間$V$を構成する最小単位で、それ以上分けることのできないものなんです。

次元

基底が分かれば次元は簡単です。先ほどと同じように$\{\boldsymbol{u}_{1}, \boldsymbol{u}_{2}, \boldsymbol{u}_{3}\}$をベクトル空間$V$の基底とすると、

$$Vの次元 = dim(V) = 基底の要素数 = 3$$

となります。dimは「dimension(次元)」の略です。簡単でしょ?

MEMO

「次元」・・・基底の要素数

次元のイメージ

多くの人は2次元を「平面」、3次元を「立体」というように考え、「次元」を「縦・横・高さ」に対応するものとして捉えていると思います。

3次元までならこのような考え方で十分でしょう。しかし、この考え方では4次元以降を考えることが出来ません。「縦・横・高さ」といった空間的なイメージは3次元が限界なのですよ。

そこでこれからは次元を「縦・横・高さ」ではなく、「集合」と考えましょう。「グループ」とかでもいいです。集合ならば、4次元であっても集合を1つ増やすだけなので、何次元でもいけますよね。

例えば、$dim(V) = 4$だったとしたら、4つの”集合”があるんだなと考えるのです。

例題

次のベクトル空間$W$の次元と1組の基底を求めよ。

$$W = \begin{eqnarray} \left\{ \boldsymbol{x} \in \mathbb{R}^5 \ \middle| \ \begin{array}{l} x_{1} + 3x_{2} – 2x_{3} + 4x_{4}= 0 \\ 3x_{1} – x_{2} – 4x_{3} + x_{4} = 0 \end{array} \right\} \end{eqnarray}$$

解答

係数行列を作り、簡約化すると、

$$\begin{pmatrix} 1 & 3 & -2 & 4 \\ 3 & -1 & -4 & 1 \end{pmatrix} \rightarrow \begin{pmatrix} 1 & 3 & -2 & 4 \\ 0 & -10 & 2 & -11 \end{pmatrix} \rightarrow \begin{pmatrix} 1 & 3 & -2 & 4 \\ 0 & 1 & -\frac{1}{5} & \frac{11}{10} \end{pmatrix} \rightarrow \begin{pmatrix} 1 & 0 & -\frac{7}{5} & \frac{7}{10} \\ 0 & 1 & -\frac{1}{5} & \frac{11}{10} \end{pmatrix}$$

$x_{3} = c_{1}, x_{4} = c_{2}$とおくと、

$$\boldsymbol{x} = \begin{pmatrix} \frac{7}{5}c_{1} – \frac{7}{10}c_{2} \\ \frac{1}{5}c_{1} – \frac{11}{10}c_{2} \\ c_{1} \\ c_{2} \end{pmatrix} = \frac{1}{5}c_{1} \begin{pmatrix} 7 \\ 1 \\ 5 \\ 0 \end{pmatrix} – \frac{1}{10}c_{2} \begin{pmatrix} 7 \\ 11 \\ 0 \\ -10 \end{pmatrix} \qquad (c_{1}, c_{2}, c_{3} \in \boldsymbol{R})$$

よって、$\left\{ \begin{pmatrix} 7 \\ 1 \\ 5 \\ 0 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 7 \\ 11 \\ 0 \\ -10 \end{pmatrix} \right\}$が求める1組の基底で、次元は2である。

解説

まずは普通に連立方程式を簡約化で解いていきます。なぜ連立方程式を解くのかというと、最初にベクトル空間$W$を求めないといけないからです。基底はベクトル空間を構成するものでしたよね?ってことはそもそもベクトル空間が分からなければ基底の求めようがないのですよ。

今は、連立方程式の解がそのままベクトル空間になっているので、じゃあまずは連立方程式を解きましょうねってことなんです。

MEMO
まずは連立方程式を簡約化で解き、対象となるベクトル空間を求める!

次に、簡約化後、$\begin{pmatrix} 1 & 0 & -\frac{7}{5} & \frac{7}{10} \\ 0 & 1 & -\frac{1}{5} & \frac{11}{10} \end{pmatrix}$という行列になりましたが、これを連立方程式に戻すと、こうなります。

$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x_{1} – \frac{7}{5}x_{3} + \frac{7}{10}x_{4} = 0 \\ x_{2} – \frac{1}{5}x_{3} + \frac{11}{10}x_{4} = 0 \end{array} \right. \end{eqnarray}$$

$x_{3}$と$x_{4}$が2式に共通して存在しているので、それらを何か文字で置き換えれば、$x_{1}, x_{2}, x_{3}, x_{4}$の全てを文字を使って表すことが出来そうですね。なので、$x_{3} = c_{1}$、$x_{4} = c_{2}$と置くわけです。

そして、基本的に線形代数では連立方程式の解を列ベクトル(数字を縦一列に並べたもの)で表すので、以下のように書きます。

$$\boldsymbol{x} = \begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \\ x_{3} \\ x_{4} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \frac{7}{5}c_{1} – \frac{7}{10}c_{2} \\ \frac{1}{5}c_{1} – \frac{11}{10}c_{2} \\ c_{1} \\ c_{2} \end{pmatrix}$$

連立方程式を解くだけならここで終わって大丈夫です。しかし、今はここから基底と次元を求めなくてはなりません。そこで以下のような変形をしています。

$$\begin{pmatrix} \frac{7}{5}c_{1} – \frac{7}{10}c_{2} \\ \frac{1}{5}c_{1} – \frac{11}{10}c_{2} \\ c_{1} \\ c_{2} \end{pmatrix} = \frac{1}{5}c_{1} \begin{pmatrix} 7 \\ 1 \\ 5 \\ 0 \end{pmatrix} – \frac{1}{10}c_{2} \begin{pmatrix} 7 \\ 11 \\ 0 \\ -10 \end{pmatrix} \qquad (c_{1}, c_{2}, c_{3} \in \boldsymbol{R})$$

これ、まさに基底の一般化のところに書いた以下の式と同じ形なのです。

$$Vの任意のベクトル = a_{1}\boldsymbol{u}_{1} + a_{2}\boldsymbol{u}_{2} +・・・+ a_{n}\boldsymbol{u}_{n}$$

てことは、$\begin{pmatrix} 7 \\ 1 \\ 5 \\ 0 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 7 \\ 11 \\ 0 \\ -10 \end{pmatrix}$は基底ですよね?そして、基底が2つだから次元は2になるわけです!

今回のまとめ
  • 「基底」・・・ベクトル空間の全要素を表すのに必要な一次独立なベクトルの組
  • 「次元」・・・基底の要素数

最後まで見て頂きありがとうございました!

先生
先生

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