複素フーリエ級数を分かりやすく解説!【なんとなく学ぶフーリエ解析】

複素フーリエ級数

こんにちは!krです!今回は

・複素フーリエ級数って何?

・普通のフーリエ級数と何が違うの??

という方たちのために「複素フーリエ級数」について簡単に説明していきたいと思います。

この記事のまとめ

・複素フーリエ級数は実フーリエ級数にオイラーの公式を適用して変形したもの
・複素数を使う理由は計算が楽になるから


・複素フーリエ級数の一般式

$$f(x) = \displaystyle \sum_{n=-\infty}^\infty c_ne^{inx}$$

・複素フーリエ係数
$$\begin{eqnarray} c_n = \frac{1}{2\pi} \displaystyle \int_{-\pi}^{\pi} f(x)e^{-inx} \ dx \end{eqnarray}$$

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導入

最初に、今回やる内容をザックリ説明します。

まずは、今までのフーリエ級数を思い出しましょう。フーリエ級数の一般式とフーリエ係数は次のようなものでした。

これでも十分まとまっていますね。でも実は…

フーリエ級数をもっと簡単に表せる方法があるのです!

先生
先生

そのために使うのが「オイラーの公式」です!

オイラーの公式

$$e^{ix} = cosx + isinx$$

この式は複素数の概念を使っているので、普通の関数と区別して「複素関数」と言います。

とりあえず今はこの公式が成り立つものだとして話を進めていきましょう。

このオイラーの公式を使うと、先ほどのフーリエ級数を次の図のような「複素フーリエ級数」に変形することが出来ます。ちなみに今までのフーリエ級数は実数が範囲なので、「実フーリエ級数」と呼び複素フーリエ級数と区別することもあります。

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くるる
くるる

要するに「実フーリエ級数をオイラーの公式を使って複素フーリエ級数に変形しよう!」ってことっすね。

これが今回やる内容のザックリとした説明です。

なぜ複素数を使うのか?

簡単に言うと、「計算が楽になるから」です。

$cosx$や$sinx$の微分積分って結構面倒くさいですよね?でも$e^x$の微分積分は超簡単です。
だから複素数を使うんです。数学で複素数を使う理由は大体これなんですよね。

複素数と聞くと、何やら凄く高度なことをやっているように感じるかもしれませんが、結局は「計算を楽にしている」だけなんです。

あまり難しく考える必要はありませんよ!!

先生
先生

複素フーリエ級数の導出

では、実フーリエ級数からどうやって複素フーリエ級数を導出するのか説明しましょう。次の図の「複素フーリエ級数の一般式と複素フーリエ係数の公式」を導出するのがゴールです。

ステップ1 オイラーの公式から$cosnx,sinnx$の式を求める

まず、オイラーの公式を使った次のような2式を用意します。

$$e^{ix} = cosx + sinx$$

$$e^{-ix} = cos(-x) + isin(-x) = cosx-isinx$$

この2式を「足し合わせる」と次の$cosx$の式が、「引き合わせる」と$sinx$の式を求めることが出来ます。

$$cosx = \frac{e^{ix}+e^{-ix}}{2}$$

$$sinx = \frac{e^{ix}-e^{-ix}}{2i}$$

ここで、$x$を$nx$にすると、次のような2式が求まります。

$$cosnx = \frac{e^{inx}+e^{-inx}}{2}$$

$$sinnx = \frac{e^{inx}-e^{-inx}}{2i}$$

この関係式が重要です!

先生
先生

ステップ2 ステップ1で求めた$cosnx,sinnx$の式をフーリエ級数の一般式に代入する

フーリエ級数の一般式は次のようなものでした。

この式に先ほどの$cosnx,sinnx$の式を代入します。すると、次のようにフーリエ級数の一般式を変形することができます。

ステップ3 $c_n = \frac{a_n-ib_n}{2}$とおき、複素フーリエ係数の公式を導く

ステップ2の最後の式に出てきた$\frac{a_n-ib_n}{2}$を$c_n$とおきます。「唐突だな!」と思うかもしれませんが、一旦受け入れてください。

まず、普通のフーリエ級数のフーリエ係数の公式を思い出しましょう。

この公式より、$c_n$は次のように変形できます。

$$\begin{eqnarray} c_n &=& \frac{a_n-ib_n}{2} \\ &=& \frac{1}{2\pi} \displaystyle \int_{-\pi}^{\pi} \{ f(x)(cosnx-isinnx)\} \ dx \end{eqnarray}$$

ここで、オイラーの公式より

$$e^{-inx} = cos(-nx) + isin(-nx) = cosnx – isinnx$$

という関係式が得られるので、これを代入すると複素フーリエ係数の公式が得られます。

複素フーリエ係数の公式

$$\begin{eqnarray} c_n = \frac{1}{2\pi} \displaystyle \int_{-\pi}^{\pi} f(x)e^{-inx} \ dx \end{eqnarray}$$

ここから複素フーリエ級数の一般式を求めていきます。

先生
先生

ステップ4 $c_{-n}=\frac{a_n+b_n}{2}$を導く

先ほど求めた複素フーリエ係数の公式において、$n=-n$としてみましょう。すると、

$$\begin{eqnarray} c_{-n} &=& \frac{1}{2\pi} \displaystyle \int_{-\pi}^{\pi} f(x)e^{inx} \ dx \\ &=& \frac{1}{2\pi} \displaystyle \int_{-\pi}^{\pi} \{ f(x)(cosnx+isinnx)\} \ dx \\ &=& \frac{a_n+ib_n}{2} \end{eqnarray}$$

となり、$c_{-n}$を$a_n$と$b_n$の式で表すことが出来ました。

ステップ5 $c_0=\frac{a_n}{2}$を導く

複素フーリエ係数の公式において、今度は$n=0$としてみましょう。すると、

$$\begin{eqnarray} c_{0} &=& \frac{1}{2\pi} \displaystyle \int_{-\pi}^{\pi} f(x) \ dx \\ &=& \frac{a_0}{2} \end{eqnarray}$$

となります。

ステップ6 「$c_n,c_{-n},c_0$」を使って複素フーリエ級数の一般式を導出する

ここまでのステップより、次の3式が求まりました。

先ほど、フーリエ級数の一般式をオイラーの公式で変形して次のような式が得られたのを覚えているでしょうか?スタート地点に戻ってきたわけですね。

この式に上の3式を代入しましょう。すると、

$$f(x) = c_0 + \displaystyle \sum_{n=1}^\infty \{ c_ne^{inx}+c_{-n}e^{-inx}$$

となり、これを$Σ$でまとめると、複素フーリエ級数の一般式が求まります。

複素フーリエ級数の一般式

$$f(x) = \displaystyle \sum_{n=-\infty}^\infty c_ne^{inx}$$

ポンタ
ポンタ

(長かったなぁ…)

まとめ

今回の内容を簡単にまとめておきます。複素フーリエ級数は次のフーリエ変換に繋がる大事な概念なので、しっかり理解しておきましょう!

・複素フーリエ級数は実フーリエ級数にオイラーの公式を適用して変形したもの

・複素数を使う理由は計算が楽になるから

・複素フーリエ級数の一般式

$$f(x) = c_0 + \displaystyle \sum_{n=1}^\infty (c_ne^{inx}+c_{-n}e^{-inx}) = \displaystyle \sum_{n=-\infty}^\infty c_ne^{inx}$$

 複素フーリエ係数
$$\begin{eqnarray} c_n = \frac{1}{2\pi} \displaystyle \int_{-\pi}^{\pi} f(x)e^{-inx} \ dx \end{eqnarray}$$

フーリエ変換
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