この記事は「行列式の定義を分かりやすく解説!」の補足的な記事です。行列式の定義をザックリ知りたい方はリンクからどうぞ。
導入

行列式の定義に置換を使うのは分かったんすけど、何でそれで定義できるのかがまだよくわからないんすよね~

そもそも行列式が何なのかが良く分からなくなってきました…
そもそも行列式とは何なのか、なぜ行列式の定義に置換を使うのかを解説しましょう!

まずは、行列式の成り立ちから説明します。
行列式の成り立ち
始まりは連立方程式
行列式が導入されるに至った理由は「連立方程式」にあります。
数百年昔、数学者たちの関心は連立方程式を解くことにありました。1次や2次なら簡単に解を導けますが、3次4次と高次になるにつれ、解は複雑になり、そもそも解けるのかどうかさえも分からなくなってしまいます。
それをどうにかしたかったのです。何か連立方程式の解を簡単に導ける方法を見つけるというのが、当時の数学者たちの悲願だったのです。
そこで、連立方程式の解に何か法則性はないか考えました。すると、ある新しい概念を導入すれば、連立方程式の解をうまく説明できることに気づきました。
その新しく導入された概念こそが、今回の主役「行列式」です。
連立方程式の一般解
では、まずは連立方程式の一般解がどのようなものになるかを見ていきましょう。
2元連立方程式
2元連立方程式の一般形は以下のようなものです。
$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a_{11}x_{1} + a_{12}x_{2} = b_{1} \\ a_{21}x_{1} + a_{22}x_{2} = b_{2} \end{array} \right. \end{eqnarray}$$
この連立方程式の解は、

となります。
3元連立方程式
3元連立方程式の一般形は以下のようなものです。
$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a_{11}x_{1} + a_{12}x_{2} + a_{13}x_{3} = b_{1} \\ a_{21}x_{1} + a_{22}x_{2} + a_{23}x_{3} = b_{2} \\ a_{31}x_{1} + a_{32}x_{2} + a_{33}x_{3} = b_{3} \end{array} \right. \end{eqnarray}$$
この連立方程式の解は、

となります。3元の時点でかなり面倒くさい形になっていますね。
「行列式」誕生
さて、先ほどは連立方程式の一般解を見てもらいましたが、何とも複雑な形をしていますよね?これには昔の数学者たちも

もう少し簡単な形で表せないだろうか。。。
と困ってしまいました。
ここでようやく「行列式」の登場です。
2元連立方程式の場合
2元連立方程式の解は以下のようなものでした。

さて、この分母の式が少し鬱陶しいので、次のような係数を並べた行列みたいなもので書き表すことにしましょう。

この

が「行列式」といわれているやつです。
さて、このような式が成り立つとすると、以下のようなものも考えることが出来ます。

すると、気づいている人もいるかもしれませんが、行列式を使うと、


このように連立方程式の解を行列式だけの形で表すことが出来るのです。2元連立方程式だと、あんまり簡単になった気がしませんが、次の3元連立方程式を見ると、感動すると思いますよ(*’ω’*)
3元連立方程式の場合
3元連立方程式の解は次のようなものでした。

こんな具合に、3元連立方程式の解はウザいくらい複雑で書くのも面倒です。もっと簡単に書けないでしょうか。。。
ということで、先ほどと同じように、分母の式を行列みたいなもので表すことにしましょう!

こんな感じ。この

も先ほどと同じ「行列式」です。
さて、このような式が成り立つと考えると、先ほどと同じように、

という風に書くことが出来ますので、そうすると3元連立方程式の解は



と書くことが出来ます。どうです?かなりコンパクトになったと思いませんか?しかもこの書き方なら、記号を順番通りに並べるだけなので、覚えるのもめちゃくちゃ簡単です(^ω^)
このような、連立方程式の解を簡単に書くことが出来るものが行列式なのです。
最後に
以上が行列式の成り立ちの説明になります。中々ボリューミーな内容でしたね…
以下の記事では行列式の定義を丁寧に解説しているので、もしよかったら読んで見てください。
最後まで見て頂きありがとうございました!

初学者におすすめな参考書を調査してまとめてみました。良かったら参考にしてください。