こんにちは、くるです。今回は

余因子展開って…何?
と大学の授業が全く分からず困っている学生のために「余因子展開」を解説します。
余因子展開とは?
余因子展開とは簡単に言えば「4×4以上の行列式を計算するための道具」です。(行列式とは?)
2×2の行列式は次のようにクロスするような計算方法でした。

また、3×3の行列式は次のような「サラスの方法」を使って計算されます。

しかし、4×4以上の行列式ではこれらの方法は使えず、4×4以上の行列式を計算するのに便利な方法が「余因子展開」なんです。
ただ、少し注意してほしいのですが、余因子展開は2×2や3×3の行列式に対しても使えます。
簡単のため、3×3の行列式を用いて余因子展開の計算方法を説明します!

余因子展開の計算方法
例えば、$\begin{vmatrix} 3 & 5 & 4 \\ 2 & 1 & 2 \\ 3 & 0 & 7 \end{vmatrix}$という行列式を余因子展開で解くと次のようになります。

これが余因子展開です。
では、どのように計算するのか説明しましょう。
【ステップ1】展開の基準となる列を決める
余因子展開はまず展開の基準となる列を決めます。列はどれでもいいです。
今回の例では1列目を基準としており、「第1列に関する余因子展開」といいます。

【ステップ2】余因子の和に展開する
先ほど決めた基準の一番上の数字に注目し、その数字の十字方向の数字を全部消します。

次に、残っている行列式を取り出し、以下のような式に沿って符号を決めます。「$3$」は1行1列なので符号は$(-1)^{1+1}=1$です。
注目している数字が$i$行$j$列のとき、$(-1)^{i+j}$
そして、注目していた数字を係数とします。つまり、次のような流れになるわけです。

各パーツには次のような名前が付いています。特に「余因子」が重要で、「余因子の和に展開する」から余因子展開というのです。

また、残りの2つの数字に対しても同じ操作をします。

よって、第1列に関する余因子展開は次のようになります。

【ステップ3】行列式を計算する
余因子展開自体はステップ2で終わっていますが、展開後の行列式を計算しないと意味がありません。
今回は2×2の行列式なので簡単に計算できますね。

これが余因子展開です。お分かりいただけたでしょうか?


分かった気がするっす!
余因子展開は1通りだけではない
先ほどの例では1列目を基準にしましたが、もちろん2列目、3列目を基準にすることもできます。どの列を基準にしても、結果は変わりません。

4×4の行列式
最初に余因子展開は「4×4以上の行列式を計算するための道具」と言いました。
実際に4×4の行列式を余因子展開で解いてみると、次のようになります。

3×3の行列式にしてしまえば「サラスの方法」で計算できます。
つまり、次のようなことが言えます。
余因子展開で3×3の行列式の和になるまで展開
⇒サラスの方法を使って計算
余因子展開の証明
余因子展開を簡単に証明します。
まず、行列式には次のように「ある列以外同じ行列式の和はその列を足し合わせた行列式と等しい」という性質があります。

この性質より次のようなことが言えます。

また、次のように「列を入れ替えると$-1$倍になる」という性質もあるので、

次のようなことが言えます。

したがって、(1), (2)より、

そして、次のような性質より、

以下のような式となり、これはまさに「余因子展開」ですよね。簡単な証明は以上です。

以下の記事で行列式の性質についてまとめてあるので、気になる方はどうぞ。
まとめ
今回は余因子展開を解説しました。
余因子展開は行列式の計算において頻繁に出てくるので、何度も計算練習をして、速く計算できるようにしておきましょう!
例題間違ってるよ。
+812→ー812
レモンパイさん
ご指摘ありがとうございます!修正しましたm(__)m