こんにちは、くるです。今回は「行列の割り算」について簡単に解説します。
行列の割り算
タイトルの通り、行列に割り算は定義されていません。ないのではなくて、あくまでも定義されていないだけです。
例えば、以下のように各成分ごとに割り算をする計算を「行列の割り算」と定義することはできます。
でも、これを定義したところであまり意味がないんですよね。線形代数であまり使いどころがないってことです。
でも、割り算に似たような概念ならあります。それが「逆行列」です。
逆行列とは、ある$n×n$正方行列$A$に対して、
$$AB=BA=E$$
を満たすような行列$B$のことです。$A^{-1}$で表すこともありますね。
$$AA^{-1}=A^{-1}A=E$$

くるる
これが何で割り算と似てるって言えるんすか?
だって、$AA^{-1}=E$という計算って、まさに割り算じゃないですか?$2 \div 2=1$みたいなもんですよ。
でも、そもそも行列に大きさなんて存在しないので、これを普通の数字の割り算と同じと言えるかというと、無理ですよね。
だから、逆行列は割り算に似ているだけの全く異なる概念なのです。
まとめると、
行列には割り算が定義されていないが、逆行列という似たような概念はある
です。
$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 1 & 1 \end{pmatrix}$$