こんにちは、krです。今回は「転置行列」について簡単に解説します。
転置行列とは?
転置行列は「行列を対角線でひっくり返した行列」です。
例えば、次のようなものです。これは「1と5の対角線」でひっくり返しています。
他の例も見てみましょう。
これが転置行列です。「ただ対角線でひっくり返すだけ」です。
くるる
簡単っすね!
ある行列を$A$としたとき、その転置行列を${}^tA$という記号で表します。つまり、次のようになるわけです。
転置行列の基本的な4つの性質
ここで説明する4つの性質はどれも重要なものなので、覚えておいた方がいいでしょう。
${}^{tt}A=A$
転置行列を更に転置すると元の行列に戻ります。例えば次のように。
${}^t(A+B)={}^tA+{}^tB$
行列の和の転置はそれぞれの行列の転置行列の和になります。例えば次のように。
一応合ってるか確かめてみましょう。左辺は
となり、右辺は
となるので、合ってることが分かります。
${}^t(kA)=k{}^tA$
ある行列の$k$倍の転置は、転置行列の$k$倍と等しいです。例えば次のように。
こちらも正しいか確認しましょう。左辺は
右辺は
となるので、正しいですね。
${}^t(AB)={}^tB {}^tA$
行列の積$AB$の転置は、$B$の転置と$A$の転置の積と等しいです。これが一番直感では理解しにくい性質だと思います。
「積の順番が逆になる」ことに注意しましょう。
これも正しいか確認しましょう。左辺は
右辺は
より、正しいと分かります。
まとめ
今回は「転置行列」について簡単に解説しました。
実際、性質を使う場面は少ないですが、たまに役に立つこともあるので、覚えておいて損はないです。
$$A=\begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \end{pmatrix}$$
$${}^t A=\begin{pmatrix} 1 & 4 \\ 2 & 5 \\ 3 & 6 \end{pmatrix}$$