行列の掛け算を分かりやすく解説!

こんにちは、くるです。今回は

行列の掛け算って何??何でこんな計算方法なの??

という方のために、「行列の掛け算」を分かりやすく解説します!後半では「なぜ行列の掛け算はこんな計算方法なのか」を解説しています。

行列の掛け算

色々疑問はあると思いますが、まずは計算方法を見てみましょう。

計算方法

行列の掛け算は以下のような計算をします。

イメージは次のような感じです。

①・➀というのは「左側の行列の1行目と右側の行列の1列目の内積を取る」という意味です。

$$\begin{eqnarray} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} &=&\begin{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \end{pmatrix} \cdot \begin{pmatrix} 1 & 3 \end{pmatrix} & \begin{pmatrix} 1 & 2 \end{pmatrix} \cdot \begin{pmatrix} 2 & 4 \end{pmatrix} \\ \begin{pmatrix} 3 & 4 \end{pmatrix} \cdot \begin{pmatrix} 1 & 3 \end{pmatrix} & \begin{pmatrix} 3 & 4 \end{pmatrix} \cdot \begin{pmatrix} 2 & 4 \end{pmatrix} \end{pmatrix} \\&=& \begin{pmatrix} 7 & 10 \\ 15 & 22 \end{pmatrix} \end{eqnarray}$$

これが行列の掛け算の計算方法です。

先生
先生
くるる
くるる

何だか複雑で難しいっすね…

行列の掛け算の2つの注意点

行列の掛け算では次に紹介する2つの注意点は最低でも覚えておくようにしましょう。

「行列$A$の列数=行列$B$の行数」のときだけ積$AB$が定義される

例えば、先ほど例に出した

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 7 & 10 \\ 15 & 22 \end{pmatrix}$$

は「左側の行列の列数(2)=右側の行列の行数(2)」だったので、掛け算をすることができました。

しかし、次のような場合、「左側の行列の列数(2) ≠ 右側の行列の行数(3)」なので、掛け算をすることはできません。

ではなぜ計算できないのかというと、内積が計算できないからです。次の内積って計算できませんよね。

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \end{pmatrix} \cdot \begin{pmatrix} 1 & 3 & 5 \end{pmatrix}$$

$AB \neq BA$

行列の掛け算は基本的に入れ替えることはできません。例えば、

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 4 & 3 \\ 2 & 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 8 & 5 \\ 20 & 13 \end{pmatrix}$$

ですが、行列を入れ替えると、

$$\begin{pmatrix} 4 & 3 \\ 2 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 13 & 20 \\ 5 & 8 \end{pmatrix}$$

となり、結果が変わることが分かります。

普通の数字の掛け算$3 \times 4 = 4 \times 3$のように入れ替えても結果が同じだと勘違いしないように気を付けましょう。

$AB = BA$が成り立つ場合もある

実は、$AB = BA$は絶対に成り立たないのではなく、以下の3つの場合には$AB = BA$が成り立ちます。

$AB = BA$が成り立つパターン

単位行列のとき

・零行列のとき

・どちらの行列も同じ行列のべき乗のとき

単位行列のとき

$$\begin{eqnarray} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} &=& \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \\
&=& \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \end{eqnarray}$$

零行列のとき

$$\begin{eqnarray} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} &=& \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \\
&=& \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} \end{eqnarray}$$

どちらの行列も同じ行列のべき乗のとき

これはかなり重要です。

例えば、以下のように単位行列でも零行列でもないのに、入れ替えても同じ結果になる場合があります。

$$\begin{eqnarray} \begin{pmatrix} 7 & 10 \\ 15 & 22 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 37 & 54 \\ 81 & 118 \end{pmatrix} &=& \begin{pmatrix} 7 & 10 \\ 15 & 22 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 37 & 54 \\ 81 & 118 \end{pmatrix} \\
&=& \begin{pmatrix} 1069 & 1558 \\ 2337 & 3406 \end{pmatrix} \end{eqnarray}$$

これはなぜかというと、どちらの行列も同じ行列のべき乗だからです。つまり、どういうことかというと、

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 7 & 10 \\ 15 & 22 \end{pmatrix}$$

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 37 & 54 \\ 81 & 118 \end{pmatrix}$$

ということです。

このように、「どちらの行列も同じ行列のべき乗」のときは、行列を入れ替えても掛け算の結果が同じになります。

これのせいで「あれ?行列の掛け算って入れ替えできないんじゃないの??」と良くわからなくなってしまうんですよね。

ポンタ
ポンタ

これは気を付けないといけないね

なぜこんな計算方法なのか?

くるる
くるる

そもそもどうしてこんな面倒くさい計算方法なんすか?単純に同じ成分を掛け合わせるのじゃダメなんすか?

確かに、ただ同じ成分を掛け合わせたものを行列の掛け算と定義しても良さそうですよね。こんな感じに。

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 4 \\ 9 & 16 \end{pmatrix}$$

じゃあなぜそうしないのかというと、「定義しても大して役に立たないから」です。

勘違いしないでほしいのは、こういう計算を定義することはできます。新たに「行列の掛け算2」みたいな感じで定義はできますが、定義したところで役に立たないのです。

ポンタ
ポンタ

役に立たないってどういうことですか?

連立方程式を使って説明しましょう。

先生
先生

(※まだ行列の連立方程式を習っていない方には難しいかもしれません。)

例えば、次のような連立方程式を考えます。

$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x &+& 2y &=& 3 \\ 4x &+& 5y &=& 6 \end{array} \right. \end{eqnarray}$$

これを次のように、行列にしてしまいます。意味が分からないかもしれませんが、$x+2y$と$3$、$4x+5y$と$6$がそれぞれ対応していると考えれば、「まぁこういう表し方も出来るか」と思えますよね。

$$\begin{pmatrix} x+2y \\ 4x+5y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 3 \\ 6 \end{pmatrix}$$

そして、上式の左辺を、本物の行列の掛け算を使えば次のように変形できます。

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 4 & 5 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 3 \\ 6 \end{pmatrix}$$

これの何が良いかというと、「符号と$x,y$を1個書かなくて済む」ということです。つまり、連立方程式をコンパクトに表すことが出来るんですね。

では、「偽物の行列の掛け算2」を使うとどんな風に書けるかというと、

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 4 & 5 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x & y \\ x & y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 3 \\ 6 \end{pmatrix}$$

となります。役に立たないでしょ?式の数が多くなればより役立たなくなります。

例えば、次のような連立方程式の場合、

$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x &+& 2y &+& 3z &=& 4 \\ 5x &+& 6y &+& 7z &=& 8 \\ 9x &+& 10y &+& 11z &=& 12\end{array} \right. \end{eqnarray}$$

本物の行列の掛け算ならば、

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 5 & 6 & 7 \\ 9 & 10 & 11 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 4 \\ 8 \\ 12 \end{pmatrix}$$

と書けますが、偽物の行列の掛け算2の場合、

$$\begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 5 & 6 & 7 \\ 9 & 10 & 11 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x & y & z \\ x & y & z \\ x & y & z \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 4 \\ 8 \\ 12 \end{pmatrix}$$

と書かなくちゃいけません。役に立ちませんねぇ~。

これ以外にも偽物の行列の掛け算2は、定義したところで役に立つことがほとんどなく、本物の行列の掛け算の方が圧倒的に役に立つのです。だから、行列の掛け算はあんな面倒くさい計算方法になってるんです。

理解できたでしょうか?

先生
先生
ポンタ
ポンタ

なんとなく分かりました!

まとめ

今回は「行列の掛け算」について解説しました。

行列の掛け算は線形代数の中でかなり重要な概念なので、必ず習得するようにしましょう。

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