固有値と固有ベクトルとは?簡単な例で分かりやすく解説します!

固有値と固有ベクトル

こんにちは!くるです!

前回は表現行列という線形写像において重要な概念を説明しましたが、今回は少し話が変わって、「固有と固有ベクトル」について説明していこうと思います!前回の記事「表現行列って何だろう?誰でも分かるように解説します!」はこちら

またも聞いたことのない単語で、見るのも嫌になるような話だとは思いますが、簡単な例から紹介し、重要な部分だけを簡潔にお伝えできればと思いますので、ぜひとも最後までご覧ください(*’ω’*)

固有値と固有ベクトルって何だろう?

代入したものが定数倍になって返ってくる

$T(\boldsymbol{x}) = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{x}$という式を考えます。この式に例えば、$\boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$を代入してみましょう。すると、

$$\begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 4 \\ 4 \end{bmatrix} = 2\begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$$
くるる
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あれ?代入したものが2倍になって返ってきたっすよ??

そう。不思議なことに$\boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$を代入したら、$2\begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$が出てきました。

他の$\boldsymbol{x}$でもそうなるのか試してみましょう。$\boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 2 \\ 1 \end{bmatrix}$を代入すると、

$$\begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 2 \\ 1 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 6 \\ 5 \end{bmatrix}$$

となり、$\boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 2 \\ 1 \end{bmatrix}$を代入したら$\begin{bmatrix} 6 \\ 5 \end{bmatrix}$が返ってきましたが、これは倍数にはなっていません。

つまり、「$T(\boldsymbol{x}) = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{x}$はある特定の$\boldsymbol{x}$の時だけ、返す値が$\boldsymbol{x}$の定数倍になる」ってことですね。

眼鏡
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固有値と固有ベクトル

先ほどの例では$T(\boldsymbol{x}) = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{x}$という式に、$\begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$という値を代入すると、2$\begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$という定数倍の値が返ってきました。

くるる
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定数倍になって返ってくる$\boldsymbol{x}$は$T(\boldsymbol{x})$の式によって違うんすか?

その通りです。例えば、$T(\boldsymbol{x}) = \begin{bmatrix} 5 & 1 \\ 8 & -2 \end{bmatrix} \boldsymbol{x}$という式の場合、$\boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 1 \\ -1 \end{bmatrix}$を代入すると、

$$ \begin{bmatrix} 5 & 8 \\ 1 & -2 \end{bmatrix} \boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 5 & 8 \\ 1 & -2 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1 \\ -1 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} -3 \\ 3 \end{bmatrix} = -3\begin{bmatrix} 1 \\ -1 \end{bmatrix}$$

となり、$\boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 1 \\ -1 \end{bmatrix}$が$-3\begin{bmatrix} 1 \\ -1 \end{bmatrix}$となって返ってきました。

このように、代入したら定数倍になって返ってくる$\boldsymbol{x}は$T(\boldsymbol{x})$の式固有のものなのです。

この、$T(\boldsymbol{x})$の式固有のものという意味で、$\begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$や$\begin{bmatrix} 1 \\ -1 \end{bmatrix}$を「固有ベクトル」と呼び、それが何倍になって返ってくるかを示す値を「固有値」と呼ぶのです。

$\begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$は2$\begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$になったので固有値は2、$\begin{bmatrix} 1 \\ -1 \end{bmatrix}$は-3$\begin{bmatrix} 1 \\ -1 \end{bmatrix}$になったので固有値は-3です。

なぜ固有”ベクトル”というのか

固有ベクトルと呼ぶということは分かったのですが、なぜ”ベクトル”なのかが分かりません…

眼鏡
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これは、「縦一列に数字が並んだもの」をベクトルと呼ぶと決めているだけです。

なので、$\begin{bmatrix} 2 \\ 2 \end{bmatrix}$、$\begin{bmatrix} 1 \\ 2 \\ 3\end{bmatrix}$、$\begin{bmatrix} 0 \\ 1 \\ -4 \\ 2\end{bmatrix}$といったものは全てベクトルなのです。

ベクトルについて更に詳しく知りたい方はこちらの「ベクトル空間とは?定義や意味を分かりやすく解説!」の記事をご覧ください。

固有値と固有ベクトルはどうやって求めるのか?

ステップ1

くるる
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固有値と固有ベクトルについては良く分かったっすけど、どうやって求めるんすか~?

何度も例に出してきた$T(\boldsymbol{x}) = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{x}$で考えてみましょう。

今、$\boldsymbol{x} = \boldsymbol{a}$が固有ベクトルだと仮定すると、これを$T(\boldsymbol{x})$に代入したら定数倍になって返ってくるはずなので、そのときの固有値を$λ$とすると

$$\begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{a} =λ\boldsymbol{a}$$

となるはずです。これを変形すると、$\begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{a}-λ\boldsymbol{a} = \boldsymbol{0}$となります。$\boldsymbol{0}$はベクトルであることに注意してください。

ここで、注意するべきことがあります。

$$\begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix}は行列、λは定数だから、\begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} – λはできない!$$

そのため、$\boldsymbol{a} = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix} \boldsymbol{a}$より、

$$\begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{a}-\lambda \boldsymbol{a} = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{a}-\lambda \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix} \boldsymbol{a} $$
$$ \qquad \qquad \qquad \quad = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{a}-\begin{bmatrix} \lambda & 0 \\ 0 & \lambda \end{bmatrix} \boldsymbol{a} $$
$$ \qquad \qquad \quad = \begin{bmatrix} 4-\lambda & -2 \\ 3 & -1-\lambda \end{bmatrix} \boldsymbol{a}$$

よって、$\begin{bmatrix} 4-\lambda & -2 \\ 3 & -1-\lambda \end{bmatrix} \boldsymbol{a} = \boldsymbol{0}$となり、この式を満たす$\boldsymbol{a}$が求める固有ベクトルです。

ステップ2

ここからは$\begin{bmatrix} 4-\lambda & -2 \\ 3 & -1-\lambda \end{bmatrix} \boldsymbol{a} = \boldsymbol{0}$の自明な解以外の解、つまり非自明な解を探します。自明な解とは$\boldsymbol{a} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \end{bmatrix}$のことです。

ここで覚えておくべきことがあります。それは

MEMO
$A\boldsymbol{x} = \boldsymbol{0}$において$det(A) = 0$ならば、$A\boldsymbol{x} = \boldsymbol{0}$は非自明な解を持つ。

ということは、 $\begin{vmatrix} 4-\lambda & -2 \\ 3 & -1-\lambda \end{vmatrix} = 0$であればいいわけです。なので、

$$\begin{vmatrix} 4-\lambda & -2 \\ 3 & -1-\lambda \end{vmatrix} = (4-λ)(-1-λ)+6$$

$$ \qquad \qquad= λ^2-3λ+2$$

$$ \qquad \qquad \quad = (λ-1)(λ-2)$$

よって、$(λ-1)(λ-2) = 0$より、$λ = 1, \ 2$

ステップ3

上で出した$λ$を$\begin{bmatrix} 4-\lambda & -2 \\ 3 & -1-\lambda \end{bmatrix} \boldsymbol{a} = \boldsymbol{0}$に代入して、式を満たす$\boldsymbol{a}$を求めます。

$λ = 1$のとき

$$\begin{bmatrix} 4-\lambda & -2 \\ 3 & -1-\lambda \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 3 & -2 \\ 3 & -2 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 & -\frac{2}{3} \\ 0 & 0 \end{bmatrix}$$

となるから、$\begin{bmatrix} 1 & -\frac{2}{3} \\ 0 & 0 \end{bmatrix} \boldsymbol{a} = \boldsymbol{0}$という連立方程式になります。

したがって、$\boldsymbol{a} = \begin{bmatrix} a_{1} \\ a_{2} \end{bmatrix}$とすると、$a_{1}-\frac{2}{3} a_{2} = 0$となるから、$a_{2} = 3C$とすると、$a_{1} = 2C$となる。よって、

$$\boldsymbol{a} = \begin{bmatrix} a_{1} \\ a_{2} \end{bmatrix} = C\begin{bmatrix} 2 \\ 3 \end{bmatrix} \qquad ただし、Cは定数 $$

$λ = 2$のとき、同様の計算を行うと、

$$\boldsymbol{a} = \begin{bmatrix} a_{1} \\ a_{2} \end{bmatrix} = C\begin{bmatrix} 1 \\ 1 \end{bmatrix} \qquad ただし、Cは定数 $$

となります。

ステップ4

長々と計算してきましたが、ようやく$λ = 1$のとき$\boldsymbol{a} = C\begin{bmatrix} 2 \\ 3 \end{bmatrix}$、$λ = 2$のとき$\boldsymbol{a} = C\begin{bmatrix} 1 \\ 1 \end{bmatrix}$と求まりました。

さて、この結果が何を表しているかと言うと、$T(\boldsymbol{x}) = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{x}$において、固有ベクトル$\boldsymbol{x} = C\begin{bmatrix} 2 \\ 3 \end{bmatrix}$のとき固有値1、固有ベクトル$\boldsymbol{x} = C\begin{bmatrix} 1 \\ 1 \end{bmatrix}$のとき固有値2ということです。

くるる
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どうして固有ベクトルに定数Cがかかってるんすか?

$C\begin{bmatrix} 2 \\ 3 \end{bmatrix}$であれば、$\begin{bmatrix} 2 \\ 3 \end{bmatrix}$の定数倍のものは全て固有ベクトルだからです。

例えば、$\begin{bmatrix} 4 \\ 6 \end{bmatrix}$を代入してみると、

$$\begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} 4 & -2 \\ 3 & -1 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 4 \\ 6 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 4 \\ 6 \end{bmatrix}$$

となり、定数倍になっていることが確認できます。

今回はここまで!

最後まで見て頂きありがとうございました!

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