像(Im)と核(Ker)を分かりやすく解説!

像と核

こんにちは、くるです。今回は「像(Im)と核(Ker)」について簡単に解説します!

像(Im)と核(Ker)とは?

像は簡単に言えば「ある写像$f$の値域」のことです。

英語で「$\mathrm{Image}$」と言うので、ある写像$f$の像を$ \mathrm{Im} \ f $と表します。

例えば、次のような$\mathbb{R}^3 \rightarrow \mathbb{R}^3$の線形写像$f$を考えましょう。

$$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 2 & 1 \\ 3 & 2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$$

この写像$f$は

$$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 2x_{1}+x_{2} \\ 3x_{1}+2x_{2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 2 \\ 3 \end{pmatrix}x_{1}+\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}x_{2} $$

と変形され、$\begin{pmatrix} 2 \\ 3 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}$は$\mathbb{R}^2$の基底であるから(理由はこちら)、値域$f(\boldsymbol{x})$は2次元数ベクトル全体$\mathbb{R}^2$です。

この値域$f(\boldsymbol{x})$のことを写像$f$の「」と呼ぶのです。

この写像$f$は定義域が2次元数ベクトル全体$\mathbb{R}^2$で、値域も2次元数ベクトル全体$\mathbb{R}^2$なので、次のようにイメージできます。

像の説明図

ついでですが、幾何的には次のようなイメージです。

写像の幾何的説明図

$\begin{pmatrix} 2 \\ 3 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}$が基底であるためには、「一次独立」かつ「一次結合で$R^2$の全てのベクトルを表せる」ことが言えなければなりません。

まず、

$$\begin{pmatrix} 2 \\ 3 \end{pmatrix}x_{1}+\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}x_{2}=\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix}$$

を満たす$\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$が自明な解$\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix}$しかないので一次独立。

また、任意の$\begin{pmatrix} c_{1} \\ c_{2} \end{pmatrix} \in \mathbb{R}^2$に対して、

$$(2c_{1}-c_{2})\begin{pmatrix} 2 \\ 3 \end{pmatrix}+(-3c_{1}+2c_{2})\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} c_{1} \\ c_{2} \end{pmatrix}$$

と表せるため、$\begin{pmatrix} 2 \\ 3 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}$は$\mathbb{R}^2$の全てのベクトルを表せる。

よって、$\begin{pmatrix} 2 \\ 3 \end{pmatrix}, \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}$は$\mathbb{R}^2$の基底であるというわけです。

核とは簡単に言えば「値域がどれだけ保たれるかを表すもの」です。

英語で「$\mathrm{Kernel}$」と言うので、ある写像$f$の核を$ \mathrm{Ker} \ f $と表します。

例えば、次のような$\mathbb{R}^2 \rightarrow \mathbb{R}^2$線形写像$f$を考えてみましょう。

$$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 2 & 1 \\ 4 & 2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$$

この写像$f$は

$$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 2x_{1}+x_{2} \\ 4x_{1}+2x_{2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 2 \\ 4 \end{pmatrix}x_{1}+\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}x_{2}$$

と変形され、$\begin{pmatrix} 2 \\ 4 \end{pmatrix}$は$\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}$の一次結合で表されるので、$f(\boldsymbol{x})$の基底は$\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}$だけです。

つまり、値域$f(\boldsymbol{x})$は$\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}$を$c$倍$(c \in R)$したものの集合ということですね。

この集合は明らかに$R^2$全体よりは要素数が少ない集合なので、次のようなイメージになります。

像の説明図2

そして、値域が$R^2$全体よりも小さくなるのは、同じ値に写される$\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$がたくさんあるからです。

例えば、$c=0$としたときの

$$\begin{pmatrix} 2x_{1}+x_{2} \\ 4x_{1}+2x_{2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix} \quad (1)$$

という式を満たす$\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$は

$$\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix},\begin{pmatrix} 1 \\ -2 \end{pmatrix},\begin{pmatrix} 2 \\ -4 \end{pmatrix} \cdots $$

というように無限にあります。これは$c$が何であってもこうなります。

ということは、$(1)$式を満たす$\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$が自明な解$\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix}$以外になければ、$c$が他の値の場合でも、その式を満たす解はただ一つしかないと言えます。

このとき、同じ値に写される$\boldsymbol{x}$がないので、値域は$R^2$全体であるはずです。

つまり、一般的に次のようなことが言えます。

$\mathbb{R}^n \rightarrow \mathbb{R}^m$の線形写像$f$において、$f(\boldsymbol{x})=\boldsymbol{0}$を満たす$\boldsymbol{x}$が自明な解$\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix}$に限るとき、$f(\boldsymbol{x})$は$\mathbb{R}^m$全体である。

そして、$f(\boldsymbol{x})=\boldsymbol{0}$を満たす$\boldsymbol{x}$の集合のことを「」といいます。

「核の要素が自明な解に限るとき、$f(\boldsymbol{x})$は$\mathbb{R}^m$全体である」というわけです。

冒頭で核を「値域がどれだけ保たれるかを表すもの」と説明したのはこれが理由です。

補足

ちなみに、今回の例では$c\begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix}$は上の数字が$x_{1}$、下の数字が$x_{2}$に対応しているので、幾何的には$x_{2}=2x_{1}$という直線を表しています。

つまり、先ほどの図は次のような図に置き換えることができますが、直線$x_{2}=2x_{1}$は「像」を表し、原点に写るような$\boldsymbol{x}$の集合が「核」です。

像と核を幾何的に説明

まとめ

今回は「像と核」について解説しました。

像と核はかなり線形写像について理解していないと分からない概念なため難しいですが、理解できるように頑張りましょう!

線形写像

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