対角化のやり方や判別方法を分かりやすく解説!

対角化

こんにちは!くるです!

前回は固有値と固有ベクトルについて説明しましたが、今回はそれらを使って「対角化」という良く分からないものを説明します。前回の記事はこちら「固有値と固有ベクトルとは?簡単な例で分かりやすく解説します!

教科書を読んでいると難しそうに感じてしまいますが、やってることは簡単なので、この記事でしっかりとマスターしていきましょう!(*’ω’*)

対角化ってなんぞ?

導入

いきなりですが、次のような行列$A$を考えます。

$$\begin{bmatrix} 3 & 0 & 2 \\ -3 & 2 & 5 \\ 4 & 0 & 1 \end{bmatrix}$$

では、$A^{100}$を計算してください。

……できませんよね?まぁやろうと思えばできるんですが、とんでもない計算量になることは間違いありません。

対角化ってのはこの$A^n$という計算がめちゃくちゃ簡単になる夢のような方法なんです。

MEMO
対角化を使えば$A^n$を簡単に出すことが出来る!

 

対角化は対角行列を作ること!

くるる
くるる

対角化の”対角“ってどういう意味なんすかねぇ~?

皆さん対角行列というのはご存じでしょうか?

$$\begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 3 \end{bmatrix}, \quad \begin{bmatrix} -2 & 0 & 0 \\ 0 & 5 & 0 \\ 0 & 0 & 10 \end{bmatrix}$$

これが対角行列です。ただ斜めに数字が並んだだけの行列です。

対角化ってのはある行列をこの対角な行列にすることなんです。イメージはできたでしょうか?

対角化の条件は?

ポンタ
ポンタ

こういうのって大体条件が良く分からないものだったりするんだよね…

いえいえそんなことはありません。対角化の条件はすごくシンプルで、その条件とはこちらです。

MEMO
$n×n$行列の固有ベクトルが1次独立で、次元の和が$n$

例えば、3×3行列で考えると図のような意味です。

次元が分からない方はこちらの記事をご覧ください!「基底と次元とは?例題と合わせて詳しく解説!

証明は教科書などで確認してください。ただ結構難しいので、公式的に覚えた方が早いです。テストで点を取るだけならそれで十分です。

では、例題を使って対角化の求め方を説明していきます!

例題

次の行列が対角化できるか調べ、対角化できる場合は対角化せよ。

$$A = \begin{bmatrix} 3 & 0 & -2 \\ -3 & 2 & 5 \\ 4 & 0 & 1 \end{bmatrix}$$

解説

ステップ1 固有値と固有ベクトルを求める

まず、固有値固有ベクトルを求めます。

固有値と固有ベクトルの求め方についてはこちらの記事をご覧ください。「固有値と固有ベクトルとは?簡単な例で分かりやすく解説します!

ステップ2 固有ベクトルの次元の和を求める

先に答えを言ってしまうと、

固有値$λ=-1$のとき、固有ベクトル$a\begin{bmatrix} -3 \\ -13 \\ 6 \end{bmatrix}$

固有値$λ=2$のとき、固有ベクトル$b\begin{bmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}$

固有値$λ=5$のとき、固有ベクトル$c\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \\ 3 \end{bmatrix}$

となります。固有ベクトルの次元というのは、基底の数です。

$a\begin{bmatrix} -3 \\ -13 \\ 6 \end{bmatrix}$$b\begin{bmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}$$c\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \\ 3 \end{bmatrix}$の次元は全て1なので、次元の和は3になります。

くるる
くるる

基底と次元を思い出すっす!

ステップ3 対角化の条件を満たしているか確認する

行列$A$は3×3行列なので、固有ベクトルの次元の和が3ならば対角化できます。

ステップ2より、次元の和は3であることが分かったので、行列$A$は対角化可能です。

慣れればすぐに判別できるようになりますよ!

先生
先生

ステップ4 対角化

固有ベクトル$a\begin{bmatrix} -3 \\ -13 \\ 6 \end{bmatrix}$$b\begin{bmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}$$b\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \\ 3 \end{bmatrix}$のベクトル部分だけを並べて行列$P = \begin{bmatrix} -3 & 0 & 3 \\ -13 & 1 & 2 \\ 6 & 0 & 3 \end{bmatrix}$を作ります。

そして、行列$A$を対角化した行列Bは次のような式で求めることが出来ます。

$$B = P^{-1}AP$$

でも、$P$の逆行列$P^{-1}$を求めるって超面倒くさいですよね?

実はそんな超面倒くさい計算をしなくても簡単に対角行列$B$を求めることが出来るんです。それは次の図のような方法です。

くるる
くるる

めちゃくちゃ簡単っすね!

ちなみに行列$P$の列の順番は何でも良く、

$$P = \begin{bmatrix} 0 & 3 & -3 \\ 1 & 2 & -13 \\ 0 & 3 & 6 \end{bmatrix} \ ならば \ B = \begin{bmatrix} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 5 & 0 \\ 0 & 0 & -1 \end{bmatrix}$$

です。では、実際にどのような答案になるか解答例を示しておきます。

解答

Aの固有多項式を考えると、

$$|A-λE| = \begin{vmatrix} 3-λ & 0 & 2 \\ -3 & 2-λ & 5 \\ 4 & 0 & 1-λ \end{vmatrix}$$

$$ \quad \ = -(λ+1)(λ-2)(λ-5)$$

したがって、固有値は$λ=-1, \ 2, \ 5$である。

(i) $ \ λ=-1$のとき

$$\begin{bmatrix} 4 & 0 & 2 \\ -3 & 3 & 5 \\ 4 & 0 & 2 \end{bmatrix} \ → \ \begin{bmatrix} 1 & 0 & \frac{1}{2} \\ 0 & 1 & \frac{13}{6} \\ 0 & 0 & 0 \end{bmatrix}$$

よって、$\begin{bmatrix} 1 & 0 & \frac{1}{2} \\ 0 & 1 & \frac{13}{6} \\ 0 & 0 & 0 \end{bmatrix} \boldsymbol{x} = \boldsymbol{0}$において$x_{3} = 6a$とおくと、$\boldsymbol{x} = a\begin{bmatrix} -3 \\ -13 \\ 6 \end{bmatrix} $

となるので、$ \ λ=-1$のとき、固有ベクトルは$a\begin{bmatrix} -3 \\ -13 \\ 6 \end{bmatrix}$

(ii) $\ λ=2$のとき

$$\begin{bmatrix} 1 & 0 & 2 \\ -3 & 0 & 5 \\ 4 & 0 & -1 \end{bmatrix} \ → \ \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \end{bmatrix}$$

となるから、(i)と同様にすると、固有ベクトルは$b\begin{bmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}$

(iii) $\ λ=5$のとき

$$\begin{bmatrix} -2 & 0 & 2 \\ -3 & -3 & 5 \\ 4 & 0 & -4 \end{bmatrix} \ → \ \begin{bmatrix} 1 & 0 & -1 \\ 0 & 1 & -\frac{2}{3} \\ 0 & 0 & 0 \end{bmatrix}$$

となるから、(i)と同様にすると、固有ベクトルは$c\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \\ 3 \end{bmatrix}$

(i)の固有ベクトルの次元 + (ii)の固有ベクトルの次元 + (ii)の固有ベクトルの次元 = 1 + 1 + 1 = 3であるから、行列Aは対角化可能である。

(i), (ii), (iii)の固有ベクトルより$P = \begin{bmatrix} -3 & 0 & 3 \\ -13 & 1 & 2 \\ 6 & 0 & 3 \end{bmatrix}$とおくと、行列$A$を対角化した行列$B$は

$$B = P^{-1}AP = \begin{bmatrix} -1 & 0 & 0 \\ 0 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 5 \end{bmatrix}$$

最初の問題

最後に、最初に話した$A^n$を求める問題をやってみましょう。

次の行列$A$に対し、$A^n$を計算せよ。

$$A = \begin{bmatrix} 3 & 0 & -2 \\ -3 & 2 & 5 \\ 4 & 0 & 1 \end{bmatrix}$$

$B = P^{-1}AP$より、$(P^{-1}AP)^n = B^n$だから、

$$(P^{-1}AP)^n = \begin{bmatrix} (-1)^n & 0 & 0 \\ 0 & 2^n & 0 \\ 0 & 0 & 5^n \end{bmatrix}$$

ここで、$(P^{-1}AP)^n = (P^{-1}AP)(P^{-1}AP)・・・(P^{-1}AP) = P^{-1}AP$となるから、

$$PP^{-1}APP^{-1} = P(P^{-1}AP)^nP^{-1} \quad ⇔ \quad A = P(P^{-1}AP)^nP^{-1}$$

先ほどの例題より$P = \begin{bmatrix} -3 & 0 & 3 \\ -13 & 1 & 2 \\ 6 & 0 & 3 \end{bmatrix}$だから、

$A = P({P^{-1}AP}^n)P^{-1} = PBP^{-1}$

$ \quad = \frac{1}{9} \begin{bmatrix} -3 & 0 & 3 \\ -13 & 1 & 2 \\ 6 & 0 & 3 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} (-1)^n & 0 & 0 \\ 0 & 2^n & 0 \\ 0 & 0 & 5^n \end{bmatrix} \begin{bmatrix} -1 & 0 & 1 \\ -17 & 9 & 11 \\ 2 & 0 & 1 \end{bmatrix} $

$ \quad = \frac{1}{9} \begin{bmatrix} -3 \cdot (-1)^{n+1} + 6 \cdot 5^n & 0 & 3 \cdot (-1)^{n+1} + 3 \cdot 5^n \\ -13 \cdot (-1)^{n+1}-17 \cdot 2^n + 4 \cdot 5^n & 9 \cdot 2^n & 13 \cdot (-1)^{n+1} + 11 \cdot 2^n + 2 \cdot 5^n \\ -6 \cdot (-1)^{n+1} + 6 \cdot 5^n & 0 & 6 \cdot (-1)^{n+1} + 3 \cdot 5^n\end{bmatrix}$

こんな風に$A^n$を求めることが出来ちゃうんです!(思ってたよりも面倒くさい形になっちゃいました笑)

今回はここまで!

最後まで見ていただきありがとうございました!

先生
先生

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