表現行列って何だろう?誰でも分かるように解説します!

表現行列

こんにちは!くるです!

前回は線形写像の説明を行いましたが、今回は線形写像の分野の中で特に重要である「表現行列」というものについて解説していきます。前回の記事「線形写像とは何か?例題も交えて簡単に解説!」はこちら

線形写像と同様に、聞いたことがない言葉で、かなり抵抗感があるのではないかと思いますが、丁寧に分かりやすく解説致しますので、この記事で簡単なイメージだけでも掴んでほしいです(*’ω’*)

表現行列って何?

まず、簡単な例を基に、「表現行列とは何か?」を説明していこうと思います!

表現行列の簡単な例

次のような線形写像(=和と定数倍ができる関数)$T$を考えてみましょう。

$$T(\boldsymbol{x}) = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix} \boldsymbol{x} \qquad ただし、\boldsymbol{x} = \begin{bmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{bmatrix}$$

今、$\boldsymbol{e}_{1} = \begin{bmatrix} 1 \\ 0 \end{bmatrix}$、$\boldsymbol{e}_{2} = \begin{bmatrix} 0 \\ 1 \end{bmatrix}$として、$T(\boldsymbol{e}_{1})$、$T(\boldsymbol{e}_{2})$を計算すると次のようになる。

$$T(\boldsymbol{e}_{1}) = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1 \\ 0 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 3 \\ 4 \\ 1 \end{bmatrix}$$

$$T(\boldsymbol{e}_{2}) = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 0 \\ 1 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 \\ 2 \\ 0 \end{bmatrix}$$

そのため、この線形写像$T$は要素が2つの行列を要素が3つの行列に変換するものであると考えることが出来る。ここで、$\boldsymbol{e}_{1}’ = \begin{bmatrix} 1 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix}$、$\boldsymbol{e}_{2}’ = \begin{bmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}$、$\boldsymbol{e}_{3}’ = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{bmatrix}$とすると、次のように変形することが出来る。

$$T(\boldsymbol{e}_{1}) = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1 \\ 0 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 3 \\ 4 \\ 1 \end{bmatrix} = 3\boldsymbol{e}_{1}’ + 4\boldsymbol{e}_{2}’ + \boldsymbol{e}_{3}’$$

$$T(\boldsymbol{e}_{2}) = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 0 \\ 1 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 \\ 2 \\ 0 \end{bmatrix} = \boldsymbol{e}_{1}’ + 2\boldsymbol{e}_{2}’ $$

最後に、これらをまとめて行列で表すと次のように書くことが出来る。

$$\begin{bmatrix} T(\boldsymbol{e}_{1}) & T(\boldsymbol{e}_{2}) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} \boldsymbol{e}_{1}’ & \boldsymbol{e}_{2}’ & \boldsymbol{e}_{3}’\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}$$

そして、この式の行列$\begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}$こそが今回説明する「表現行列」です。

教科書では$\begin{bmatrix} T(\boldsymbol{e}_{1}), & T(\boldsymbol{e}_{2}) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} \boldsymbol{e}_{1}’, & \boldsymbol{e}_{2}’, & \boldsymbol{e}_{3}’\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}$という書き方がされているかもしれませんが、これは

$$\begin{bmatrix} T(\boldsymbol{e}_{1}), & T(\boldsymbol{e}_{2}) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} T(e_{1})_{x} & T(e_{2})_{x} \\ T(e_{1})_{y} & T(e_{2})_{y} \\ T(e_{1})_{z} & T(e_{2})_{z} \end{bmatrix}$$

$$\begin{bmatrix} \boldsymbol{e}_{1}’, & \boldsymbol{e}_{2}’, & \boldsymbol{e}_{3}’\end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ \end{bmatrix}$$

という意味であり、計算すれば同じ結果になります。ただ、基本的にはこちらの書き方をした方が良いかもしれません。

表現行列は何を”表現”しているのか?

ポンタ
ポンタ

表現行列というものがあるのは分かったけど、一体何が”表現”されている行列なのかが分からないなぁ…

という方がほとんどだと思います。実際これを説明するのはかなり難しくて、僕なりにどう理解すればいいのかを説明しようと思います。

説明するにあたり、基底の知識が必要になりますので、「ちょっと基底は分かんないな(;^ω^)」という方はこちらの「基底と次元とは?例題と合わせて詳しく解説!」の記事をご覧ください。

表現行列は線形写像によってどのような座標に飛ばされるのかを表す

先ほどの例において、$\boldsymbol{e}_{1}$、$\boldsymbol{e}_{2}$を$xy$平面の標準基底、$\boldsymbol{e}_{1}’$、$\boldsymbol{e}_{2}’$、$\boldsymbol{e}_{3}’$を$xyz$平面の標準基底と考えましょう。すると、先ほどの

$$T(\boldsymbol{e}_{1}) = 3\boldsymbol{e}_{1}’ + 4\boldsymbol{e}_{2}’ + \boldsymbol{e}_{3}’$$

という式は「$xy$平面の$\boldsymbol{e}_{1}$という点が$xyz$平面の$3\boldsymbol{e}_{1}’ + 4\boldsymbol{e}_{2}’ + \boldsymbol{e}_{3}’$という点に移動した」という意味になっています。

同様に、

$$T(\boldsymbol{e}_{2}) = \boldsymbol{e}_{1}’ + 2\boldsymbol{e}_{2}’ $$

という式は「$xy$平面の$\boldsymbol{e}_{2}$という点が$xyz$平面の$\boldsymbol{e}_{1}’ + 2\boldsymbol{e}_{2}’$という点に移動した」という意味です。

すると、表現行列$\begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}$とは以下のようなことを表しているといえそうです。

MEMO
表現行列は「$xy$平面上の点$\boldsymbol{e}_{1}$, $\boldsymbol{e}_{2}$が線形写像によって$xyz$平面のどのような座標に飛ばされるか」を表す

だからどのような座標に飛ばされるかを”表現”する行列という意味で「表現行列」と呼ばれるわけですね。

一般的な表現行列の説明

先ほどまでの例では、$(\boldsymbol{e}_{1}, \boldsymbol{e}_{2})から、(\boldsymbol{e}_{1}’, \boldsymbol{e}_{2}’, \boldsymbol{e}_{3}’)$への写像というように標準基底に限定したものでしたが、ここでは基底が標準基底でない場合の表現行列を考えましょう。

標準基底に限定したときの表現行列

先ほどの例では、線形写像「$ \ T(\boldsymbol{x}) = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix} \boldsymbol{x} \ $」を色々と計算していくと次のような式になり、

$$\begin{bmatrix} T(\boldsymbol{e}_{1}) & T(\boldsymbol{e}_{2}) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} \boldsymbol{e}_{1}’ & \boldsymbol{e}_{2}’ & \boldsymbol{e}_{3}’\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}$$

この式より表現行列が$\begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}$であると分かりました。

ここで、気づいた方もいるかもしれませんが、この表現行列って最初の線形写像$T$で掛かってる行列と同じですよね?

つまり、以下のようなことが言えるのです。

MEMO
線形写像$T(\boldsymbol{x}) = A \boldsymbol{x}$が標準基底から標準基底への写像なら、表現行列はAとなる

写像前の基底か写像後の基底のどちらかでも標準基底でない場合はこれは成り立ちません。標準基底でない場合を説明いたしましょう。

難しい方の表現行列

では、以下の線形写像$T$において、

$$T(\boldsymbol{x}) = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix} \boldsymbol{x}$$

写像前の基底が標準基底$(\boldsymbol{e}_{1} = \begin{bmatrix} 1 \\ 0 \end{bmatrix}, \boldsymbol{e}_{2} = \begin{bmatrix} 0 \\ 1 \end{bmatrix})$であり、写像後の基底が$(\boldsymbol{a}_{1} = \begin{bmatrix} 1 \\ 3 \\ 0 \end{bmatrix}, \boldsymbol{a}_{2} = \begin{bmatrix} 2 \\ 1 \\ 1 \end{bmatrix}, \boldsymbol{a}_{3} = \begin{bmatrix} 0 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix})$である場合を考えてみましょう。

詳しい方法は次回解説しますが、このときの表現行列は$\begin{bmatrix} 1 & 1 \\ 1 & 0 \\ 0 & -1 \end{bmatrix}$となります。

先ほどの写像前と後が標準基底である場合と、今回の場合を比較すると、

$\begin{bmatrix} T(\boldsymbol{e}_{1}) & T(\boldsymbol{e}_{2}) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} \boldsymbol{e}_{1}’ & \boldsymbol{e}_{2}’ & \boldsymbol{e}_{3}’\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}$
$\begin{bmatrix} T(\boldsymbol{e}_{1}) & T(\boldsymbol{e}_{2}) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} \boldsymbol{a}_{1} & \boldsymbol{a}_{2} & \boldsymbol{a}_{3}\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1 & 1 \\ 1 & 0 \\ 0 & -1 \end{bmatrix}$

これは基底が$\begin{bmatrix} \boldsymbol{e}_{1}’ & \boldsymbol{e}_{2}’ & \boldsymbol{e}_{3}’\end{bmatrix} \ → \ \begin{bmatrix} \boldsymbol{a}_{1} & \boldsymbol{a}_{2} & \boldsymbol{a}_{3}\end{bmatrix}$に変わると、表現行列はどんな行列に変わるのかを表しています。

左辺がどちらも同じということは右辺も同じはずです。事実、

$$\begin{bmatrix} \boldsymbol{a}_{1} & \boldsymbol{a}_{2} & \boldsymbol{a}_{3}\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1 & 1 \\ 1 & 0 \\ 0 & -1 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 3 & 1 & 1 \\ 0 & 1 & 0 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1 & 1 \\ 1 & 0 \\ 0 & -1 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix} $$

$$ \qquad \qquad \qquad = \begin{bmatrix} \boldsymbol{e}_{1}’ & \boldsymbol{e}_{2}’ & \boldsymbol{e}_{3}’\end{bmatrix} \begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 4 & 2 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}$$

というように等しいことが証明できます。まとめると、

MEMO
線形写像$T(\boldsymbol{x}) = A \boldsymbol{x}$において、写像前後どちらかの基底が標準基底でないなら、表現行列はAではない。

ということです。今回はここまで!

最後まで見て頂きありがとうございました。

眼鏡
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