表現行列とは何か?丁寧に解説します!

表現行列

こんにちは、くるです。今回は

表現行列って何なんだよ~(泣)

と涙が止まらない方のために「表現行列」を分かりやすく解説します。

また、表現行列をちゃんと理解するには「線形写像」の理解が必要不可欠です。線形写像についてあまり理解できていない方は先に「線形写像とは何か?丁寧に解説します!」をご覧ください。

表現行列って何?

表現行列とは簡単に言えば「どんな線形写像であるかを表現する行列」です。

例えば、次のような$\mathbb{R}^2 \rightarrow \mathbb{R}^2$の線形写像$f$を考えましょう。

$$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$$

この線形写像$f$において、$\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}$とすると、

$$f\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$$

となります。これはつまり、線形写像$f$によって、$\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}$が$\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$に写されたということを表しています。

幾何的には、次のようなイメージです。

そして、線形写像$f$の$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}$という行列は「線形写像$f$によってベクトル$\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$がどんなベクトル$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$に写るか」ということを表しています。

つまり、行列$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}$は「線形写像$f$がどんな線形写像であるかを表現する行列」と言うことができ、この行列のことを「表現行列」と呼びます。

くるる
くるる

とにかく、$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix} = A\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$という線形写像の行列$A$のことを「表現行列」と呼ぶってことっすよね?

その通りです!

先生
先生

後述しますが、$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix} = A\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$という線形写像の行列$A$のことを「表現行列」と呼べるのは、写像前の基底と写像後の基底が標準基底であるときだけです。

標準基底でないときの表現行列

先ほどの$\mathbb{R}^2 \rightarrow \mathbb{R}^2$の線形写像では、写像前の基底も写像後の基底も標準基底$ \left \{ \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix},\begin{pmatrix} 0 \\ 1 \end{pmatrix} \right \} $に設定してあります。(基底とは?)

つまり、幾何的には次のように、$(0,1),(1,0)$によって$x,y$平面の全てのベクトルが構成されているということです。

この基底のときは、先ほどの線形写像$f$に$\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}$を入力したら、以下のように$\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$が出力されます。

では、ここで、写像前の基底を$ \left \{ \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix},\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} \right \} $に、写像後の基底を$ \left \{ \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix},\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix} \right \} $に変換してみましょう。

この変換により、$x,y$平面は次のようになります。

さて、この基底のとき、先ほどの線形写像$f$における入力ベクトル$(-1,1)$と出力ベクトル$(1,1)$はそれぞれ、

$$\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}=-2\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}$$

$$\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}=2\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 & -1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}$$

という式で表されます。

この式は、標準基底では$\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix},\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$だったものが、新しい基底にすると$\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix},\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}$に変わるということを表しています。

つまり、図にすると次のような意味です。

ここで、線形写像$f$をもう一度思い出しましょう。

$$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$$

この式に$\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}$を入力しても、$\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}$は出力されません。

つまり、新しい基底のとき(もっと言うと標準基底ではないとき)、$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}$は表現行列ではないんです。

なので、$\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}$を入力したら、$\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}$が出力される、そんな行列を求めなければならず、その行列が新しい基底における「表現行列」です。

基底を変換した後の表現行列の求め方を説明します!

先生
先生

基底を変えたときの表現行列の求め方

まず、今までのことを整理しましょう。

初めに、

$$f\begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{pmatrix}$$

に$\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}$を入力したら、$\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$が出力されました。

これは図に表すと次のイメージです。

次に、基底の変換を行い、

$$\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}$$

$$\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 & -1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}$$

という式から、$\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix},\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$が$\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix},\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}$に変換されました。

これは図に表すと次のようにイメージできます。

そして、今問題になっているのは次の式を満たす行列$B$を求めることです。

$$\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}=B\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}$$

これは図では次のように表されます。

くるる
くるる

でもどうやって$B$を求めるんすか?全然見当も付かないっすよ…

実はこの図から簡単に求めることが出来るんです!

先生
先生

どういうことかというと、緑の矢印向きの演算が分からないなら、赤の矢印の逆⇒青の矢印⇒赤の矢印の順に演算をしていけば良いってことです。

なので、以下の式をどんどん変形していくことになります。

$$\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}=B\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}$$

まず、$\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}$において、

$$\begin{eqnarray}\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}&=&\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix} \\
&& \\
\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}&=&\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}^{-1}\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix} \end{eqnarray}$$

という式が成り立つので、

$$\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}=B\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}^{-1}\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}$$

次に、$\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}$において、線形写像$f$により

$$\begin{eqnarray} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}&=&\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} \\
&& \\
\begin{pmatrix} -1 \\ 1 \end{pmatrix}&=&\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}^{-1} \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} \end{eqnarray}$$

という式が成り立つので、

$$\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}=B\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}^{-1} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}^{-1} \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$$

そして最後に、$\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}$において、

$$\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 & -1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}$$

という式が成り立つので、最終的に次のような式になります。

$$\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}=B\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}^{-1} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}^{-1} \begin{pmatrix} 1 & -1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}$$

この式から、

$$\begin{eqnarray} B &=& \begin{pmatrix} 1 & -1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}^{-1} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} \\
&& \\
&=& \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} \\
&& \\
&=& \begin{pmatrix} 4 & 6 \\ 3 & 4 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} \\
&& \\
&=& \begin{pmatrix} 4 & 10 \\ 3 & 7 \end{pmatrix} \end{eqnarray}$$

となり、求めていた表現行列は$\begin{pmatrix} 4 & 10 \\ 3 & 7 \end{pmatrix}$であることが分かりました。

実際、

$$\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 4 & 10 \\ 3 & 7 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} -2 \\ 1 \end{pmatrix}$$

となるので、正しいと分かります。

一般化

今までは具体的な例を用いて計算を説明してきましたが、一般的には以下の図のようになります。

まず以下の式から始めます。

$$\begin{pmatrix} a’ \\ b’ \end{pmatrix}=B\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}$$

$\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}$において、

$$\begin{eqnarray} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}&=&P\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix} \\
&& \\
\begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix}&=&P^{-1} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} \\
\end{eqnarray}$$

という式が成り立つから、

$$\begin{pmatrix} a’ \\ b’ \end{pmatrix}=BP^{-1} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}$$

次に、$\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}$において、

$$\begin{eqnarray} \begin{pmatrix} x’ \\ y’ \end{pmatrix}&=&A\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} \\
&& \\
\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}=A^{-1} \begin{pmatrix} x’ \\ y’ \end{pmatrix} \\
\end{eqnarray}$$

という式が成り立つから、

$$\begin{pmatrix} a’ \\ b’ \end{pmatrix}=BP^{-1}A^{-1} \begin{pmatrix} x’ \\ y’ \end{pmatrix}$$

最後に、$\begin{pmatrix} x’ \\ y’ \end{pmatrix}$において、

$$\begin{pmatrix} x’ \\ y’ \end{pmatrix}=Q\begin{pmatrix} a’ \\ b’ \end{pmatrix}$$

という式が成り立つので、最終的に次のような式になります。

$$\begin{pmatrix} a’ \\ b’ \end{pmatrix}=BP^{-1}A^{-1}Q\begin{pmatrix} a’ \\ b’ \end{pmatrix}$$

そして、$\begin{pmatrix} a’ \\ b’ \end{pmatrix}$を消して、

$$1=BP^{-1}A^{-1}Q$$

という式になり、

$$\begin{eqnarray} 1&=&BP^{-1}A^{-1}Q \\
&& \\
Q^{-1}&=&BP^{-1}A^{-1} \\
&& \\
Q^{-1}A&=&BP^{-1} \\
&& \\
Q^{-1}AP&=&B \end{eqnarray}$$

となるので、

という図において、表現行列$B$は

$$B=Q^{-1}AP$$

という式で求められると分かりました。

まとめ

今回は表現行列について長々と説明しました。

最初は中々理解のできない概念ですが、繰り返し復習することで徐々に理解できるようになるので、頑張りましょう!

基底と次元

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