こんにちは、krです。今回は「行列の足し算・引き算」について簡単に解説します。
足し算
行列の足し算は「各成分を足すだけ」です。

例えば、
$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 2 & 4 \\ 6 & 8 \end{pmatrix}$$
となります。
引き算
行列の引き算は「各成分を引くだけ」です。

例えば、
$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}-\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix}$$
となります。
足し算・引き算はそんなに難しくはないでしょう。

足し算・引き算ができる条件
普通の数字であれば、どんな場合でも足し算・引き算が可能でした。しかし、行列では以下の条件を満たさないと足し算・引き算が出来ないのです。
「型が等しい」とは「行の数と列の数が等しい」ということです。
例えば、以下のように型の違う行列同士の足し算・引き算はできません。

次のように計算はできないの?と思うかもしれませんが出来ません。そういう決まりなのです。

なぜ型が違うと足し算・引き算できないのか?

決まりって言われたってそんなの納得できないよ!
と思う方もいるかもしれないので、なんとなく解説します。
例えば、次のように「型が違っても足し算・引き算ができる」と仮定しましょう。
$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 2 & 4 & 3 \\ 7 & 9 & 6 \end{pmatrix}$$
また、当然次のような式も成り立ちますよね。
$$\begin{pmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 3 & 4 & 0 \end{pmatrix}+\begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 2 & 4 & 3 \\ 7 & 9 & 6 \end{pmatrix}$$
すると、この2つの式より、
$$\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 3 & 4 & 0 \end{pmatrix}$$といえますね。
でも、これはどう考えてもマズイでしょう。確かにこういうものだと定義することもできると思いますが、ややこしいじゃないですか。
こんなことを許してしまったら、次のような計算なんて、どっちで答えを書けば良いのかよく分かりません。
$$\begin{pmatrix} 2 & 4 & 3 \\ 7 & 9 & 6 \end{pmatrix}-\begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 3 & 4 & 0 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}$$
この後の「行列の掛け算」なども行列の足し算・引き算を基に考えられているので、それら全てに同じような曖昧さを与えてしまいます。
だから、「型が異なる場合は足し算・引き算できない」と定義しているのです。

結局、「そういうもの」ってことっすか?
そういうことです。

まとめ
今回は「行列の足し算・引き算」について解説しました。
足し算・引き算は出来るのが当たり前なので、必ず習得するようにしましょう。といっても、多分簡単ですよね。
行列の型が等しい